J-SOXはルーズソックス?
本日プロネクサス(旧亜細亜証券印刷)主催のセミナーにてのH田教授の発言(要旨)。
「日本版SOX法は米国に比較しゆるゆるのルーズソックスだという人もいる。しかし当初評判が悪かったルーズソックスもファッションのデファクトとなった。日本版SOXもきっとデファクトになる」
その言やよし。
しかしA学院ではルーズソックスがデファクトになっているのか?
以上速報(何の?)
本日プロネクサス(旧亜細亜証券印刷)主催のセミナーにてのH田教授の発言(要旨)。
「日本版SOX法は米国に比較しゆるゆるのルーズソックスだという人もいる。しかし当初評判が悪かったルーズソックスもファッションのデファクトとなった。日本版SOXもきっとデファクトになる」
その言やよし。
しかしA学院ではルーズソックスがデファクトになっているのか?
以上速報(何の?)
2007年度税制改正の柱となる新しい減価償却制度の政府案の大枠が二十五日、明らかになった。投資額の全額を損金に計上する仕組みを、機械設備だけではなく、建物や航空機などすべての償却資産に適用。新規投資分だけでなく、企業の既存設備も対象にする。
「投資額の全額を損金に計上する仕組み」については、毎日のように報道されていましたが、既存設備も含む、というところは予想外でした。
まず、老朽化した資産を多数抱えている企業は取得した価格の5%という金額で貸借対照表上に計上しているかと思います。減価償却制度が改訂になれば、それらの金額については税務上の損金となることになります。税法の改訂により決算方法が変わるというのは理論的にはおかしいのですが、税法が確定決算主義を捨てていない以上、税務メリットをとるには、今貸借対照表上に計上されているそれらの資産の帳簿価額が、一時的に償却費として吐き出されることになります。節税にはなるでしょうが、決算上も結構なインパクトとなることが予想されます。
また、既存の設備についても償却計算の変更を迫られます。既存のソフトはこのような事態に対応しているのでしょうか?
そして、そもそもこれらの変更を会計上どのようにして正当化するのか、ということが興味深いです。一昔前は税法に従っていればとりあえず監査人も認めてくれたのですが、税法とは袂を分けてしまったこのご時世、単なる「税法の変更」は会計方針の変更としてはなり難いものとなっています。その一方でそれを認めないと税務メリットが取れないわけであり会計側に非難が殺到するでしょう。会計側がどういった対応をとるのか、ちょっとした注目点であります。
証券取引等監視委員会は22日、ジャスダック上場の住宅メーカー、東日本ハウスに対し、有価証券報告書に虚偽の記載があったとして200万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。課徴金制度が昨年導入されて以来、監視委はインサイダー取引で10件の納付命令を勧告してきたが、虚偽記載で課徴金の勧告を出すのは初めて。ジャスダック証券取引所も12月6日までに情報の適時開示を求める改善報告書を提出するよう命じた。
東日本ハウスといえば私の地元岩手では(いろいろな意味での)有名企業でありますが、こういうことで紙面を飾ってしまうことになるとは・・・
プレスリリースはこちらです。虚偽記載の内容については、「退職給付債務額の計算における錯誤のデータを使用したものであり、退職給付引当金の過少計上を行ったことにあります。」とのことです。他の決算短信の修正に係るプレスリリースを見てもこれ以上のことは書いていないようです。
「錯誤」という言葉をそのまま解釈する限り、おそらく意図的なものではないのでしょう。そう悪質なケースではないように思えます。また課徴金といっても2百万円のようですから、企業業績上さしたる影響はないでしょう。
ただ、こういった比較的悪質さが小さいケースにおいてもどんどん課徴金を課していくという監視委の姿勢を示したものとしては注目すべき判断かと思います。これは「虚偽の記載を行った」ことによる結果責任ですので、「内部統制が有効に機能している」かは関係なさそうですし、「会計士が合理的と判断した」からといって、100%の保証をしているわけではありませんので、監査判断は合理的でも課徴金は課せられるということもあるわけで、なかなか厳しい姿勢であるかと思います。
東急ストアは22日、2007年2月期の連結最終損益が54億円の黒字(前期は25億円の赤字)になる見通しだと発表した。従来予想は36億円の黒字。固定資産の譲渡に伴う税効果の影響で法人税等調整額がマイナスとなる。06年8月中間期決算も後発事象の発生としてさかのぼって修正した。
修正後発事象の問題です。
本体のプレスリリースはこちら
(修正)修正後発事象の発生に伴う平成19年2月期中間決算短信(連結)及び平成19年2月期個別中間財務諸表の概要等の修正について
平成18年10月12日に発表いたしました当社「平成19年2月期中間決算短信(連結)」、「平成19年2月期個別中間財務諸表の概要」及びそれぞれの添付資料について、下記の理由に基づき修正いたします。
(中略)
当社は、本日付で別途発表いたしております「固定資産の譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、平成18年11月22日開催の取締役会において、福岡県筑紫野市所在の土地、建物を譲渡することを決議いたしました。
この決議に伴い、中間期末時の減損会計上の回収可能価額の観点から、売却時に発生が見込まれる損失相当額の減損処理及び一時差異に係る繰延税金資産の計上を修正後発事象として18年8月中間期の中間連結財務諸表並びに中間財務諸表に反映させることにいたしました。
素朴な疑問なんですが、これって修正後発事象にあたるのでしょうか?
ここで修正後発事象の定義をば
・・・決算日後の発生した事象であるが、その実質的な原因が決算日現在において既に存在しており、決算日現在の状況に関連する会計上の判断ないし見積りをするうえで、追加的ないしより客観的な証拠を提供するものとして考慮しなければならない事象である。したがって、重要な事象については、財務諸表の修正を行うことが必要となる。(監査委員会報告第76号)
つまり、決算日を過ぎてからわかったことでも、その事象が決算日現在でも発生している場合はその影響を織り込んで財務諸表を修正しなさい、と言っているわけです。教科書的には貸倒引当金がその例としてよく挙げられます。決算日後半月で取引先が倒産してしまった場合、実質的には決算日時点で取引先の財政状態は悪化していたのだろうから、それはさかのぼって貸倒引当金を計上して、財務諸表を修正してください、ということです。決算日後で監査報告書の発行前に何らかの事実が発生した場合このような問題が生じます。
では、話を戻してこのケース。確かに決算日後、中間監査報告書前に起きた売却損失であるようです。では、決算日時点においてはどうだったのでしょうか。
確かに、決算日後3ヶ月で時価が急落した等の事情がない限り、決算日末(8月末)でも時価は下落していたと考えるのが自然でしょう。したがって、正味売却価額ベースでは減損損失が発生したのでしょう。
しかしながら、減損損失を正味売却価額ベースで算出するのは、売却を視野においている場合が通常であり、それ以外の場合は固定資産を使用し続けることが前提で、使用価値、すなわち事業による将来キャッシュフローで測定するのが原則かと思います。8月末時点では当然その前提で減損会計を適用しているはずです。
そして、11月に売却の意思決定をしたのであれば、その時点で売却予定の資産として改めて評価すべきものであるかと思います。すなわち、このケースであれば、減損損失の発生はあくまで11月であり、8月にさかのぼって修正する必要があるのか?というのが私の疑問です。
もっとも8月末の時点で譲渡の意思が固まっており、資産評価も終わっていた、とか、そもそも使用価値で計算してもやはり損失は生じていた、というのならば別ですが、それであれば最初から8月末の決算に織り込んでいなければならないものであり、修正後発事象の発生というよりは、それは単なる会計基準の適用誤りではないかと考えます。
個人的には、不可抗力によるものであればともかく、事後の取引にかかる取締役会決定のたびに、既に公表した財務諸表をいちいち修正しなければならない、というあたりに激しく抵抗を覚えるのですが。
企業会計審議会監査部会(部会長 山浦久司 明治大学教授)は、「四半期レビュー基準の設定について(公開草案)」を取りまとめ公表し、広く意見を求めることとしました。
忘れがちですが、こちらも出ました。
レビューという実務が定着するでしょうか。
詳細は読んでからということでこれも備忘UPです。
企業会計審議会内部統制部会(部会長 八田進二 青山学院大学教授)では、昨年12月に公表した財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案を実務に適用するとした場合のより詳細な実務上の指針(実施基準)の作成を検討してきました。今般、当部会の下に置かれた作業部会(座長 橋本尚 青山学院大学教授)が作成した実施基準案を基に審議を行い、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(公開草案)」を取りまとめ公表し、広く意見を求めることといたしました。
ついに出ましたね。
ただ、内容は先ごろ公表された会議資料と大差ない模様です。
取り急ぎ備忘UPまで。
インターネットを使ったIP電話事業を展開する近未来通信(東京都中央区)が20日、本社事務所や支店を閉鎖したことがわかった。同社はIP電話サービスに必要な中継局の設置費用を負担すれば、通話料などを配当として還元する「中継局オーナーシステム」を展開しているが、総務省などには一部投資家から「配当がない」などの苦情、相談が寄せられているという。
歴史は繰り返すということですか。
まだ、サイトは生きているようです。
詳細はよくわからないのですが、単に自分で設備を購入して、近未来通信宛に貸し出すというスキームのように見えます。ということは、知ってか知らずかリース会社が負うリスクと同様のリスクを負ったことになります。
金融市場がこうした有利な手段を提供しているのに、平成電電はなぜ個人投資家に年10%もの配当を支払って金を集めなくてはならなかったのだろうか。
その理由は一つしか考えられない。この会社は日本中のすべての金融機関から相手にされていなかったのだ。
投資家たるもの、これくらいのことは当然知っていて投資をしているものだと思っていたのですが、ひょっとしたらそういうことを理解していないで投資している人がいるのではないかということが、この本での自分にとっての新たな発見でした。
FASB Improves Employers’ Accounting For Defined Benefit Pension and Other Postretirement Plans
Norwalk, CT, September 29, 2006―The FASB today issued a standard that will require employers to fully recognize the obligations associated with single-employer defined benefit pension, retiree healthcare and other postretirement plans in their financial statements. The standard will make it easier for investors, employees, retirees and others to understand and assess an employer’s financial position and its ability to fulfill the obligations under its benefit plans.
日付どおり、旧聞に属する話なのですが、米国財務会計基準審議会(FASB)が、退職給付会計に係る新会計基準を決定して公表したという記事。昨日この会計基準に関する、某コンサルタント会社の講演会に参加してきましたので、思い出しつつ取り上げました。
プレスリリースに書いてあるとおり、本会計基準のポイントは以下の3点にあるようです。
(a) Recognize in its statement of financial position an asset for a plan’s overfunded status or a liability for a plan’s underfunded status
積立過剰も積立不足は貸借対照表上で認識する。
(b) Measure a plan’s assets and its obligations that determine its funded status as of the end of the employer’s fiscal year (with limited exceptions)
年金資産残高と退職給付債務は貸借対照表日にて測定する
(c) Recognize changes in the funded status of a defined benefit postretirement plan in the year in which the changes occur. Those changes will be reported in comprehensive income of a business entity and in changes in net assets of a not-for-profit organization.
積立状況の変動は、変動が発生した年度に認識する。その変動は包括利益の項目で純資産の変動として認識する。
(a)は早い話が、積み立ててある年金資産の金額と退職給付債務の金額の純額を貸借対照表に全額計上するということです。日本の会計基準はもちろん、その模範とした旧米国会計基準、国際会計基準とも退職給付債務についてはある程度のオフバランス化を認めていましたので、これは企業にとって負債の増加要因になります。
もっとも、日本の会計基準の感覚よりは負債の増加インパクトはそれほどでもない可能性があります。なぜならば、米国会計基準独特の「追加最小負債」という勘定科目があり、最終的な負債のオフバランス金額を限定していることにあります。
と、これからリサーチしようとしたのですが、EDINETがメンテ中なのか接続できません(11/19現在)。というわけで、書きかけのまま一旦筆をおきます。
(written on Nov.19)
欧米の企業会計基準を作る専門機関が、損益計算書から「純利益」の項目を将来的に廃止し、株式など保有資産の時価変動を反映する「包括利益」に一本化する方向で合意した。世界の二大基準が包括利益重視へ踏み出したことで、日本の基準にも影響を与えるのは必至。持ち合い株式を保有する日本企業は対応を迫られる可能性がある。
まあ、こういう方向にあることは知っていましたが、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計審議会(FASB)が合意したというニュースはフォローしておりませんでした。で、探してみたのですが、とくにそういう合意をした、というプレスリリースなどはなさそうです。
それではと、10月のIASB UPDATEを探してみると、一番最後に下記のような記述がありました。
The boards agreed that the project should develop a financial statement presentation format that would accommodate their long-term goal of having all recognised income and expense items classified in the same manner. However, in the short term, it might be necessary to keep some recognised income and expense items in a separate section of the statement of recognised income and expense.
The boards agreed that in the long term none of the subtotals on the statement of recognised income and expense should have a ‘timing’ difference; in other words, the subtotals should be based on changes in assets and liabilities that have occurred in the current period, thus the mechanism of recycling should be eliminated. However, in the short term the changes in assets and liabilities that are currently reclassified (recycled) between other recognised income and expense and profit or loss might need to be shown separately from the current period changes. The boards acknowledged that given those decisions and the proposed working format there would not be a profit or loss subtotal in the statement of recognised income and expense.
Recognising that changes to current standards that give rise to other recognised income and expense items will need to be made to achieve those long-term goals, the boards directed the staff to develop a presentation format that could be used in the interim (until the long-term goal can be achieved). The boards also directed the staff to develop a plan for achieving that long-term goal, such as whether those issues would be addressed in separate projects or as part of the financial statement presentation project.
細かいところをすっとばして意訳してしまうと、「短期的には当期純利益の考え方を維持するようですが、長期的には廃止する」ということが書いてあると解釈することができそうです。
(日経)
来年半ばまでに議論のたたき台となる論点整理を作成。移行措置を含め、4-5年かけて最終的な基準化を目指す。
長期的というのは4-5年のようですが、それはここからは読み取れません。サイトのどこかにもっと詳しい情報があるかもしれませんが、まだ見つけられていません。
この話は、新IASB発足当時(21世紀初頭)から遡上に上っている案件です。5-6年かけてもさっぱり決められない基準なわけです。背景には欧州企業ですらこの基準に懐疑的であることがあるといわれています。
そんな中、長期的とはいえFASBとの合意ができたというのであれば、IASBにとっては強い援軍ではあるでしょう。いままで4-5年かけてもできなかったものがあと4-5年で導入できるのかは疑問ですが、IASBは純利益の廃止に執拗にこだわっており、今後この旗を下げることもまた考えにくいことです。「長期」のレベルはともかく、日本の基準にもコンバージェンスプロジェクトなどを通じて徐々に圧力がかかってくることになるでしょう。
日本球界のエースが過去最高の評価を受けて海を渡る――。15日、ポスティングシステム(入札制度)で大リーグ移籍を目指していた松坂大輔投手(26)との交渉権が、ボストン・レッドソックスに約60億円で落札されたことが明らかになった。予想以上の高額に、西武は驚き、レッドソックスは大きな期待をにじませた。
$51,111,111という金額だそうで。何ですかね、この細かさは。一瞬源泉税などという言葉が頭に浮かびましたが、全く関係ないですね。
しかし、60億円。
約60億円の使い道については、「選手の補強やファンのために使いたいと思っている」と話した。
と書かれていますし、日経夕刊では「全額を補強費やファンのために使う」とかかれており、ろじゃあさんが心配しています親会社の赤字補填という話は表向きには出ていないようです。
とはいえ、西武ホールディングス(西武HD)の連結決算にとっては決して小さくない数値かと思います。
この移籍金の会計上の扱いについて、ろじゃあさんのところやbewaadさんのところでいろいろと議論があったようです。すっかり見逃していました。リアルで参加できなかったのが残念。
で、大方の結論として、松坂選手の資産価値は当然簿外資産でしょうから(契約金は償却しきっているという前提)、60億円まるまる何らかの利益として計上するというところに落ち着いているかと思います。私も同意見です。
ここで気になるのは、この60億円の(特別)利益が発生することにより、その開示の必要があるのではないか?ということです。証券取引法上、臨時報告書の制度があり、投資者保護のため必要と認められる事項についての開示が求められています。
西武HDは18年2月に設立された会社で、当然非上場です。開示の必要はないではないか、と考える向きもあるかもしれませんが、もと上場会社であった西武鉄道などの株式移転により設立された会社ですので、個人株主が多数存在します。12,000人ほどの個人株主を抱える企業です。有価証券の所有者の数が500を超える企業はたとえ非上場でも有価証券報告書を提出する必要があり、西武HDは第一期より有価証券報告書を提出しています。
そして、有価証券報告書を提出している会社は、必要とされるときに臨時報告書を提出する義務があります。臨時報告書の提出用件は多岐にわたっていますが、この中に「連結会社の財政状態及び経営成績に著しい影響を与える事象が発生した場合」というのがあります。
「著しい影響」の範囲ですが、「当該連結会社の最近連結会計年度の末日における連結純資産額の百分の三以上かつ最近五連結会計年度に係る連結財務諸表における当期純利益の平均額の百分の二十以上に相当する額になる事象」と定義されています。
ではこの60億という金額のレベルですが、西武HDはできて1年も経っていない会社であり、しかも連結財務諸表はこれから作成するという時期であるので、後段の定義の判定は不可能になります。この場合そもそも対象から外れるのか、前段の条件だけで判断するのかはよくわかりませんが、少なくとも純資産に多額な影響を与えるのであれば開示が求められると考えるのが自然かと思います。
それでは前段の条件ですが、西武HDの18/3末の連結純資産は1,576億円です。百分の三以上は47億円以上ということになります。60億円はそれ以上ですから、一見開示対象になりそうです。しかしながら、純資産に影響を与える額は税引後利益ベースであり、60億円に税効果を加味する必要があります。
通常の会社であれば、税効果を考慮するとおおむね6割の数値になりますので、約36億円となり、これをベースにすると開示対象とはならないことになります。これ以上は開示情報がないので推測で物を言うしかないのですが、株式会社西武ライオンズとして法人税の処理をどうするかという問題にかかってくるかと思います。
巷で報道されているところによると、西武ライオンズは万年赤字体質であり、親会社の補填に頼っているとか。したがってほとんど税金を払っていないのではないかと推測されます。繰越欠損金があるかどうかは補填のレベルにかかってきますが、潤沢な?欠損金がある場合は60億円に対しても税金を支払わなくてもいい場合もありうるかと思います。当然繰延税金資産など計上していないでしょうから、その場合は60億円丸丸損益に効いて来ます。
さすがにライオンズ1社で60億円の欠損金はでかすぎるような気もしますが、一方で連結全体で繰越欠損金に係る繰延税金資産は約500億あり(ただしほとんどが評価性引当金計上済み)、税前の繰越欠損金は800億円以上あることになります。連結でこれだけの欠損金を抱えながら60億円に対してまじめに税金を支払うことはかなりもったいないので、何らかの節税策を講じてくるでしょう。昔とった杵柄でそういう知恵を持った人が多そうですし(笑)。もっとも振って沸いたような話なので、現時点で緻密なタックスプランニングがあるとは考えにくいのですが。
最後は推測になりましたので、実際に臨時報告書が提出されるかどうかはわかりません。少なくとも現時点では提出されていませんし、西武HDのウェブサイトでもプレスリリースはありません。まあ法定開示にはあたらないにしても、連結決算上それなりのインパクトがあることは疑いがないことですので、多くの個人株主をもつ企業として何らかのディスクロージャーがあってもしかるべきではないかと思いますがいかがなものでしょうか?
呉服卸の丸正は13日、過去の会計処理に誤りがあり、2006年3月期決算を訂正すると発表した。06年3月期の連結純利益は従来発表よりも6割減の七千二百万円となる。呉服の値引販売を反映せずに売り上げを計上していたため。同社の監査を担当するあずさ監査法人の指摘で問題が発覚した。
丸正は最終消費者に呉服を販売する小売業に対して反物を納入している。丸正は一部の取引で、小売店から反物の注文を受けた時点で売り上げを計上していた。小売店は反物を呉服に仕立てて顧客に販売した段階で丸正に反物の代金を入金。小売店が値引を反映した代金しか入金せず、丸正が計上した売上額に比べ、小売店からの入金額が少ない場合が出ていた。
公私共に全く縁のない業界ですので、推測でものを言うしかないのですが、
プレスリリースもUPされていないようですし。
http://www.pearly-marusho.co.jp/ir/index.html
まず注文を受けた時点で売り上げを計上していたというのがそもそも常識的ではないですね。個人に対する店頭販売ならともかく、少なくとも物を納入しない限りは売上とならないのが原則です。もっともこの注文によってたとえ反物を渡さなくても入金確実となる契約等があれば別なのでしょうが、反物を渡してですら注文どおりの金額がもらえてない現状からすると、そんなことはありえないでしょう。
そして、値引の未反映ですか。売掛金の滞留チェックをしていればわかりそうなものですが、おそらく修正規模としては税引き前利益ベースで約1億円。大きいとも小さいとも言いがたい微妙な金額ですが、もとの経常利益が2.6億円ですから仕方ありませんか。どちらにしろ、内部統制についてはかなりの悪印象を与えたの感がありますね。
(自動エントリです)
まず、前回の訂正より
ありていに言えば、米国の内部統制監査報告書は「当該企業の内部統制は有効に機能している」という報告書になり、日本のそれは「当該企業の内部統制は有効に機能しているという経営者の意見は正しいと認められる」という報告書になります。
やや不正確でしたね。米国の監査報告書でも経営者の意見に対する評価は行います(というか、あくまでメインはこちら)ですので、正確には「当該企業の内部統制は有効に機能しているという経営者の意見は正しいと認められる。そして、当該企業の内部統制は有効に機能している」という表現になります。
さて、ダイレクトレポーティングに関して、少し前にこちらのサイトに考察があります。
米国が内部統制監査報告書においてダイレクトレポーティング方式を採用した理由(まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記)
ここでPCAOBの基準が引用されています
=====
PCAOB No.2 APPENDIX E
BACKGROUND AND BASIS FOR CONCLUSIONS
E17. The Board concluded that the auditor must obtain a high level of assurance that the conclusion expressed in management's assessment is correct to provide an opinion on management's assessment. An auditing process restricted to evaluating what management has done would not provide the auditor with a sufficiently high level of assurance that management's conclusion is correct. Instead, it is necessary for the auditor to evaluate management's assessment process to be satisfied that management has an appropriate basis for its statement, or assertion, about the effectiveness of the company's internal control over financial reporting. It also is necessary for the auditor to directly test the effectiveness of internal control over financial reporting to be satisfied that management's conclusion is correct, and that management's assertion is fairly stated.
=====
おそらく、ここがポイントなんでしょうね。
An auditing process restricted to evaluating what management has done would not provide the auditor with a sufficiently high level of assurance that management's conclusion is correct.
経営者が行ったことだけに監査プロセスが限定されるのであれば、経営者の結論が正しいことについての十分に高い保証を得ることはできないであろう、ってことですね。ですのでdirectlyに testすることが必要である、ということ。
では、日本の内部統制監査が「An auditing process restricted to evaluating what management has done」なのか、ということですが、
たとえば、以下「Ⅲ.財務報告に係る内部統制の監査(案)」より長文引用しますが
ロ. 業務プロセスに係る内部統制の運用状況の検討
監査人は、評価対象となった業務プロセスについて、内部統制が設計どおりに適切に運用されているかどうか及び統制を実施する担当者や責任者が当該統制を有効に実施するのに必要な権限と能力等を有しているかどうかを把握し、内部統制の運用状況の有効性に関する経営者の評価の妥当性を検討する。
a. 運用状況の検討の内容及び実施方法
監査人は、評価対象となった業務プロセスに係る内部統制の運用状況を理解しなければならない。そのため、監査人は、経営者の内部統制の運用状況に関する「Ⅱ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」3.(7)に記載の内部統制の記録を入手し、関連文書の閲覧、適切な管理者又は担当者に対する質問等により、内部統制の実施状況及び自己点検の状況を検証する。また、記録の閲覧や質問等では検証が困難な場合には、業務の観察や、必要に応じて適切な管理者又は担当者に再度手続を実施させることによって検証する。以上の手続については、基本的に、監査人自ら選択したサンプルを用いた試査により適切な証拠を入手する方法で行われる(例えば、日常反復継続する取引について、統計上の正規分布を前提とすると、90%の信頼度を得るには、評価対象となる統制上の要点ごとに少なくとも25 件のサンプルが必要になる。)。その際、例えば、反復継続的に発生する定型的な取引について、経営者が無作為にサンプルを抽出しているような場合には、監査人自らが同じ方法で別のサンプルを選択することは効率的でないため、経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証を行った上で、経営者が評価において選択したサンプルを自ら選択したサンプルの一部として利用することができる
「基本的に、監査人自ら選択したサンプルを用いた試査により適切な証拠を入手する方法で行われる」というところがポイント。経営者が行ったサンプリングをなぞるのではなく、あくまで内部統制の有効性に係る証拠を得るために自らサンプリングを行うというのが原則です。となれば、これは「An auditing process restricted to evaluating what management has done」ではなく、「directly test the effectiveness of internal control」の方ではないかと考えるのですが、いかがなものなのでしょうか。
確かに「経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証を行った上で、経営者が評価において選択したサンプルを自ら選択したサンプルの一部として利用することができる」ということが書かれていますので、書かれていないよりはサンプルサイズを軽減することは可能なのでしょう。しかしながら、少なくとも「全部」を経営者のサンプリングにゆだねることはできないのは明らかです。で結局この「一部」がどれくらいのものであれば合理的であるのかはこれからの実務の積み上げになるのでしょうから、ダイレクトレポーティングの不採用が企業負担の軽減になるのか、はたまたダイレクトレポーティングの不採用は換骨奪胎なのか、の判断はこの「一部」の解釈次第になるのではないでしょうか。
また、通常監査の計画は前年度までの積み上げがある程度ベースになっているかと思います。昨年までちゃんとやっているところは今年の監査手続は少なくてもよい、といった判断が当然に含まれるかと思います。といったときに全く白紙から始まる初年度の内部統制監査において「経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証」というのは厳しめに判断せざるを得ないのではないかと考えます。となると監査人の証拠入手において経営者のサンプルが使用できる範囲はそれほど大きくないのではないでしょうか。
てなことを考えると、ダイレクトレポーティングの不採用による企業負担の軽減も、換骨奪胎度もそれほど大きいものではないのではないか、というのがとりあえずの私の感触です。
読み込みが(特に米基準の)甘いところが当然にあるかと思いますので、いろいろ識者の方に教えていただければと思っています。
日経金融紙における、棚卸資産の評価方法を原価法から低価法へと切り替えたとの記事より
(某社)が低価法の早期適用に踏み切ったのは「今期、想定以上に利益が出るため、損失が目立たない(経理室)」から。
こらこらこら(笑)。社長がぽろっと本音を漏らしてしまったのならともかく、経理がこんなこと認めてしまったらいかんでしょう。まあ、誘導に引っかかってしまったんでしょうが。
前エントリで紹介した、企業会計審議会内部統制部会の資料ですが、あっという間に多くの方が目をつけており、toshiさんのところでは既に活発な議論がされています。しかし皆さん読むのが早い。お忙しい方々なはずなのに。100pもあると集中力のない私などは職場でも家でも読めず、スタバに場所を移して読みましたが、こちらはひそかに値上げされていたことに気づき・・・という今日この頃です。
そしてtoshiさんのところでもどなたかがコメントされていましたが、100pもある割には面白くない(笑)。具体的な実務指針を期待していたのですが、あまり具体的ではありませんね。教科書の延長線上みたいな書き方であり、これが出たからといって、実務対応ができるかというとできないでしょうね。結局現在進行しているSOX法の実務が下敷きになって動き出す、ということになるのでしょう。
まあ、考えてみれば実務に役立つような実務指針は100pというレベルではぜんぜん済まないでしょうから、そんなこと期待すること自体が間違っていたというべきでしょうか。
さて、実務指針でどのような記載になっているかを個人的に注目していた部分としてダイレクトレーティングの不採用のところがあります。ダイレクトレポーティング(DR)を不採用したことで企業側の負担をかなり軽くできる、というのがこの日本版内部統制の一つの売りだったはずです。
そして、このDRの不採用については識者からの批判があるわけで、やや古いですが9/30号の東洋経済の「専門家4氏に聞く日本版SOX論」という特集の中で2名がDRの不採用について手厳しい批判をしております。
まあ、私なんかよりはるかに実務に精通している方々だと思いますので、おそらくそうなのだろうとは思うのですが、どうも私にはそれがなぜ企業の負担軽減に繋がるのか、いまいちピンと来ていない部分があります。
DRというのは監査人が自ら企業の内部統制を評価して報告書に評価を記載することです。そして、日本ではそのような報告書の形を取らず、経営者の内部統制の評価について意見を表明すという形式をとるといわれています。
ありていに言えば、米国の内部統制監査報告書は「当該企業の内部統制は有効に機能している」という報告書になり、日本のそれは「当該企業の内部統制は有効に機能しているという経営者の意見は正しいと認められる」という報告書になります。
という形式の違いはわかるのですが、では経営者の報告書の適正性をどう判断するかというと、報告書を穴があくほど見つめたからといって適性性がわかるはずもなく、形式的に経営者にインタビューしてはい終わり、というのでは通常監査とは呼びません。仮にも監査と呼ぶからには監査人が自らサンプルを抽出して内部統制の有効性を判断する必要があります。
となると、行うべきことというのはDRを採用したか不採用かでいったいどこが違うのか、というのがよくわからないのです。サンプル抽出して実査するというのは同じですから。
そう考えると、DRであるかないかというのは直接企業の負担軽減とはあまり関係ないような気がします。関係あるのは経営者の報告書の適正性を監査するのにどこまでの厳密な手続きを求めるか、ひいては監査基準でどれくらいの事を定めるか、これがわからないと企業の負担軽減といは言えない、と思っていたわけです。
そういう意味で、今回の実務指針でそのあたりがどのような記載になっているか注目していました。では今回どう書いてあったか、については力尽きましたのでまた次回とします。
討議の資料がいつの間にか金融庁のサイトにUPされております。
議事録がまだ公開されていないので草案へどれくらい変わるのかは未知数ですが。
取り急ぎ備忘のため。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20061106.html
すみません、またブログに長期間穴を開けてしまいました。
このブログでは、監査法人の交代とか、会計処理の変更とかで、いろいろな会社を揶揄してきました。基本的には二重責任の原則にたって、財務諸表は経営者が作成するもの、会計監査人はそれを監査するもの、という立場から、いろいろおかしいところがあってもそれは経営者の責任という考え方で書いてきたつもりです。そしてそういった事象を予想しうまくソフトランディングさせるのが、会社側の経理のミッションの一つなのだなと思ったりしていました。
しかしながら、こちらがそういったプロ意識を発揮しようとしても、相手方にそのプロ意識が希薄だったり、それを担う能力がなかったりしたら・・・
財務諸表に関していろいろ世間を騒がしている事情については、監査法人側の立ち回りが悪いせいで起こってる部分もひょっとしたらけっこうあるのかななどと・・・
という、自分の身に降りかかった火の粉を払いのけながらいろいろ考えておりました(当然詳細は書けないわけですが)ため、書く気が起こらなかったというのが近況でございます。
降りかかる火の粉も払いきれることになりそうなので、またぼちぼち書き始められればなと考えています。
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