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FASB Improves Employers’ Accounting For Defined Benefit Pension and Other Postretirement Plans

FASB Improves Employers’ Accounting For Defined Benefit Pension and Other Postretirement Plans

Norwalk, CT, September 29, 2006―The FASB today issued a standard that will require employers to fully recognize the obligations associated with single-employer defined benefit pension, retiree healthcare and other postretirement plans in their financial statements. The standard will make it easier for investors, employees, retirees and others to understand and assess an employer’s financial position and its ability to fulfill the obligations under its benefit plans.

日付どおり、旧聞に属する話なのですが、米国財務会計基準審議会(FASB)が、退職給付会計に係る新会計基準を決定して公表したという記事。昨日この会計基準に関する、某コンサルタント会社の講演会に参加してきましたので、思い出しつつ取り上げました。

プレスリリースに書いてあるとおり、本会計基準のポイントは以下の3点にあるようです。

(a) Recognize in its statement of financial position an asset for a plan’s overfunded status or a liability for a plan’s underfunded status

積立過剰も積立不足は貸借対照表上で認識する。

(b) Measure a plan’s assets and its obligations that determine its funded status as of the end of the employer’s fiscal year (with limited exceptions)

年金資産残高と退職給付債務は貸借対照表日にて測定する

(c) Recognize changes in the funded status of a defined benefit postretirement plan in the year in which the changes occur. Those changes will be reported in comprehensive income of a business entity and in changes in net assets of a not-for-profit organization.

積立状況の変動は、変動が発生した年度に認識する。その変動は包括利益の項目で純資産の変動として認識する。

(a)は早い話が、積み立ててある年金資産の金額と退職給付債務の金額の純額を貸借対照表に全額計上するということです。日本の会計基準はもちろん、その模範とした旧米国会計基準、国際会計基準とも退職給付債務についてはある程度のオフバランス化を認めていましたので、これは企業にとって負債の増加要因になります。

もっとも、日本の会計基準の感覚よりは負債の増加インパクトはそれほどでもない可能性があります。なぜならば、米国会計基準独特の「追加最小負債」という勘定科目があり、最終的な負債のオフバランス金額を限定していることにあります。

と、これからリサーチしようとしたのですが、EDINETがメンテ中なのか接続できません(11/19現在)。というわけで、書きかけのまま一旦筆をおきます。

(written on Nov.19)

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欧米、純利益廃止で合意(11/16日経)

欧米の企業会計基準を作る専門機関が、損益計算書から「純利益」の項目を将来的に廃止し、株式など保有資産の時価変動を反映する「包括利益」に一本化する方向で合意した。世界の二大基準が包括利益重視へ踏み出したことで、日本の基準にも影響を与えるのは必至。持ち合い株式を保有する日本企業は対応を迫られる可能性がある。


まあ、こういう方向にあることは知っていましたが、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計審議会(FASB)が合意したというニュースはフォローしておりませんでした。で、探してみたのですが、とくにそういう合意をした、というプレスリリースなどはなさそうです。

それではと、10月のIASB UPDATEを探してみると、一番最後に下記のような記述がありました。

The boards agreed that the project should develop a financial statement presentation format that would accommodate their long-term goal of having all recognised income and expense items classified in the same manner. However, in the short term, it might be necessary to keep some recognised income and expense items in a separate section of the statement of recognised income and expense.

The boards agreed that in the long term none of the subtotals on the statement of recognised income and expense should have a ‘timing’ difference; in other words, the subtotals should be based on changes in assets and liabilities that have occurred in the current period, thus the mechanism of recycling should be eliminated. However, in the short term the changes in assets and liabilities that are currently reclassified (recycled) between other recognised income and expense and profit or loss might need to be shown separately from the current period changes. The boards acknowledged that given those decisions and the proposed working format there would not be a profit or loss subtotal in the statement of recognised income and expense.

Recognising that changes to current standards that give rise to other recognised income and expense items will need to be made to achieve those long-term goals, the boards directed the staff to develop a presentation format that could be used in the interim (until the long-term goal can be achieved). The boards also directed the staff to develop a plan for achieving that long-term goal, such as whether those issues would be addressed in separate projects or as part of the financial statement presentation project.

細かいところをすっとばして意訳してしまうと、「短期的には当期純利益の考え方を維持するようですが、長期的には廃止する」ということが書いてあると解釈することができそうです。

(日経)
来年半ばまでに議論のたたき台となる論点整理を作成。移行措置を含め、4-5年かけて最終的な基準化を目指す。

長期的というのは4-5年のようですが、それはここからは読み取れません。サイトのどこかにもっと詳しい情報があるかもしれませんが、まだ見つけられていません。

この話は、新IASB発足当時(21世紀初頭)から遡上に上っている案件です。5-6年かけてもさっぱり決められない基準なわけです。背景には欧州企業ですらこの基準に懐疑的であることがあるといわれています。

そんな中、長期的とはいえFASBとの合意ができたというのであれば、IASBにとっては強い援軍ではあるでしょう。いままで4-5年かけてもできなかったものがあと4-5年で導入できるのかは疑問ですが、IASBは純利益の廃止に執拗にこだわっており、今後この旗を下げることもまた考えにくいことです。「長期」のレベルはともかく、日本の基準にもコンバージェンスプロジェクトなどを通じて徐々に圧力がかかってくることになるでしょう。

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松坂選手の移籍金は臨時報告書提出事由か?

「高額落札びっくり。最大限の評価」 西武球団社長


日本球界のエースが過去最高の評価を受けて海を渡る――。15日、ポスティングシステム(入札制度)で大リーグ移籍を目指していた松坂大輔投手(26)との交渉権が、ボストン・レッドソックスに約60億円で落札されたことが明らかになった。予想以上の高額に、西武は驚き、レッドソックスは大きな期待をにじませた。

$51,111,111という金額だそうで。何ですかね、この細かさは。一瞬源泉税などという言葉が頭に浮かびましたが、全く関係ないですね。

しかし、60億円。

約60億円の使い道については、「選手の補強やファンのために使いたいと思っている」と話した。

と書かれていますし、日経夕刊では「全額を補強費やファンのために使う」とかかれており、ろじゃあさんが心配しています親会社の赤字補填という話は表向きには出ていないようです。

とはいえ、西武ホールディングス(西武HD)の連結決算にとっては決して小さくない数値かと思います。

この移籍金の会計上の扱いについて、ろじゃあさんのところbewaadさんのところでいろいろと議論があったようです。すっかり見逃していました。リアルで参加できなかったのが残念。

で、大方の結論として、松坂選手の資産価値は当然簿外資産でしょうから(契約金は償却しきっているという前提)、60億円まるまる何らかの利益として計上するというところに落ち着いているかと思います。私も同意見です。

ここで気になるのは、この60億円の(特別)利益が発生することにより、その開示の必要があるのではないか?ということです。証券取引法上、臨時報告書の制度があり、投資者保護のため必要と認められる事項についての開示が求められています。

西武HDは18年2月に設立された会社で、当然非上場です。開示の必要はないではないか、と考える向きもあるかもしれませんが、もと上場会社であった西武鉄道などの株式移転により設立された会社ですので、個人株主が多数存在します。12,000人ほどの個人株主を抱える企業です。有価証券の所有者の数が500を超える企業はたとえ非上場でも有価証券報告書を提出する必要があり、西武HDは第一期より有価証券報告書を提出しています。

そして、有価証券報告書を提出している会社は、必要とされるときに臨時報告書を提出する義務があります。臨時報告書の提出用件は多岐にわたっていますが、この中に「連結会社の財政状態及び経営成績に著しい影響を与える事象が発生した場合」というのがあります。


「著しい影響」の範囲ですが、「当該連結会社の最近連結会計年度の末日における連結純資産額の百分の三以上かつ最近五連結会計年度に係る連結財務諸表における当期純利益の平均額の百分の二十以上に相当する額になる事象」と定義されています。

ではこの60億という金額のレベルですが、西武HDはできて1年も経っていない会社であり、しかも連結財務諸表はこれから作成するという時期であるので、後段の定義の判定は不可能になります。この場合そもそも対象から外れるのか、前段の条件だけで判断するのかはよくわかりませんが、少なくとも純資産に多額な影響を与えるのであれば開示が求められると考えるのが自然かと思います。

それでは前段の条件ですが、西武HDの18/3末の連結純資産は1,576億円です。百分の三以上は47億円以上ということになります。60億円はそれ以上ですから、一見開示対象になりそうです。しかしながら、純資産に影響を与える額は税引後利益ベースであり、60億円に税効果を加味する必要があります。

通常の会社であれば、税効果を考慮するとおおむね6割の数値になりますので、約36億円となり、これをベースにすると開示対象とはならないことになります。これ以上は開示情報がないので推測で物を言うしかないのですが、株式会社西武ライオンズとして法人税の処理をどうするかという問題にかかってくるかと思います。

巷で報道されているところによると、西武ライオンズは万年赤字体質であり、親会社の補填に頼っているとか。したがってほとんど税金を払っていないのではないかと推測されます。繰越欠損金があるかどうかは補填のレベルにかかってきますが、潤沢な?欠損金がある場合は60億円に対しても税金を支払わなくてもいい場合もありうるかと思います。当然繰延税金資産など計上していないでしょうから、その場合は60億円丸丸損益に効いて来ます。

さすがにライオンズ1社で60億円の欠損金はでかすぎるような気もしますが、一方で連結全体で繰越欠損金に係る繰延税金資産は約500億あり(ただしほとんどが評価性引当金計上済み)、税前の繰越欠損金は800億円以上あることになります。連結でこれだけの欠損金を抱えながら60億円に対してまじめに税金を支払うことはかなりもったいないので、何らかの節税策を講じてくるでしょう。昔とった杵柄でそういう知恵を持った人が多そうですし(笑)。もっとも振って沸いたような話なので、現時点で緻密なタックスプランニングがあるとは考えにくいのですが。

最後は推測になりましたので、実際に臨時報告書が提出されるかどうかはわかりません。少なくとも現時点では提出されていませんし、西武HDのウェブサイトでもプレスリリースはありません。まあ法定開示にはあたらないにしても、連結決算上それなりのインパクトがあることは疑いがないことですので、多くの個人株主をもつ企業として何らかのディスクロージャーがあってもしかるべきではないかと思いますがいかがなものでしょうか?

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丸正、前期決算を訂正(11/14)


呉服卸の丸正は13日、過去の会計処理に誤りがあり、2006年3月期決算を訂正すると発表した。06年3月期の連結純利益は従来発表よりも6割減の七千二百万円となる。呉服の値引販売を反映せずに売り上げを計上していたため。同社の監査を担当するあずさ監査法人の指摘で問題が発覚した。


丸正は最終消費者に呉服を販売する小売業に対して反物を納入している。丸正は一部の取引で、小売店から反物の注文を受けた時点で売り上げを計上していた。小売店は反物を呉服に仕立てて顧客に販売した段階で丸正に反物の代金を入金。小売店が値引を反映した代金しか入金せず、丸正が計上した売上額に比べ、小売店からの入金額が少ない場合が出ていた。

公私共に全く縁のない業界ですので、推測でものを言うしかないのですが、
プレスリリースもUPされていないようですし。
http://www.pearly-marusho.co.jp/ir/index.html

まず注文を受けた時点で売り上げを計上していたというのがそもそも常識的ではないですね。個人に対する店頭販売ならともかく、少なくとも物を納入しない限りは売上とならないのが原則です。もっともこの注文によってたとえ反物を渡さなくても入金確実となる契約等があれば別なのでしょうが、反物を渡してですら注文どおりの金額がもらえてない現状からすると、そんなことはありえないでしょう。

そして、値引の未反映ですか。売掛金の滞留チェックをしていればわかりそうなものですが、おそらく修正規模としては税引き前利益ベースで約1億円。大きいとも小さいとも言いがたい微妙な金額ですが、もとの経常利益が2.6億円ですから仕方ありませんか。どちらにしろ、内部統制についてはかなりの悪印象を与えたの感がありますね。

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ダイレクトレポーティングは不採用って?(2)

(自動エントリです)

まず、前回の訂正より

ありていに言えば、米国の内部統制監査報告書は「当該企業の内部統制は有効に機能している」という報告書になり、日本のそれは「当該企業の内部統制は有効に機能しているという経営者の意見は正しいと認められる」という報告書になります。

やや不正確でしたね。米国の監査報告書でも経営者の意見に対する評価は行います(というか、あくまでメインはこちら)ですので、正確には「当該企業の内部統制は有効に機能しているという経営者の意見は正しいと認められる。そして、当該企業の内部統制は有効に機能している」という表現になります。

さて、ダイレクトレポーティングに関して、少し前にこちらのサイトに考察があります。

米国が内部統制監査報告書においてダイレクトレポーティング方式を採用した理由(まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記)

ここでPCAOBの基準が引用されています


=====
PCAOB No.2 APPENDIX E
BACKGROUND AND BASIS FOR CONCLUSIONS

E17. The Board concluded that the auditor must obtain a high level of assurance that the conclusion expressed in management's assessment is correct to provide an opinion on management's assessment. An auditing process restricted to evaluating what management has done would not provide the auditor with a sufficiently high level of assurance that management's conclusion is correct. Instead, it is necessary for the auditor to evaluate management's assessment process to be satisfied that management has an appropriate basis for its statement, or assertion, about the effectiveness of the company's internal control over financial reporting. It also is necessary for the auditor to directly test the effectiveness of internal control over financial reporting to be satisfied that management's conclusion is correct, and that management's assertion is fairly stated.
=====

おそらく、ここがポイントなんでしょうね。

An auditing process restricted to evaluating what management has done would not provide the auditor with a sufficiently high level of assurance that management's conclusion is correct.

経営者が行ったことだけに監査プロセスが限定されるのであれば、経営者の結論が正しいことについての十分に高い保証を得ることはできないであろう、ってことですね。ですのでdirectlyに testすることが必要である、ということ。

では、日本の内部統制監査が「An auditing process restricted to evaluating what management has done」なのか、ということですが、

たとえば、以下「Ⅲ.財務報告に係る内部統制の監査(案)」より長文引用しますが


ロ. 業務プロセスに係る内部統制の運用状況の検討

監査人は、評価対象となった業務プロセスについて、内部統制が設計どおりに適切に運用されているかどうか及び統制を実施する担当者や責任者が当該統制を有効に実施するのに必要な権限と能力等を有しているかどうかを把握し、内部統制の運用状況の有効性に関する経営者の評価の妥当性を検討する。

a. 運用状況の検討の内容及び実施方法

監査人は、評価対象となった業務プロセスに係る内部統制の運用状況を理解しなければならない。そのため、監査人は、経営者の内部統制の運用状況に関する「Ⅱ 財務報告に係る内部統制の評価及び報告」3.(7)に記載の内部統制の記録を入手し、関連文書の閲覧、適切な管理者又は担当者に対する質問等により、内部統制の実施状況及び自己点検の状況を検証する。また、記録の閲覧や質問等では検証が困難な場合には、業務の観察や、必要に応じて適切な管理者又は担当者に再度手続を実施させることによって検証する。以上の手続については、基本的に、監査人自ら選択したサンプルを用いた試査により適切な証拠を入手する方法で行われる(例えば、日常反復継続する取引について、統計上の正規分布を前提とすると、90%の信頼度を得るには、評価対象となる統制上の要点ごとに少なくとも25 件のサンプルが必要になる。)。その際、例えば、反復継続的に発生する定型的な取引について、経営者が無作為にサンプルを抽出しているような場合には、監査人自らが同じ方法で別のサンプルを選択することは効率的でないため、経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証を行った上で、経営者が評価において選択したサンプルを自ら選択したサンプルの一部として利用することができる

「基本的に、監査人自ら選択したサンプルを用いた試査により適切な証拠を入手する方法で行われる」というところがポイント。経営者が行ったサンプリングをなぞるのではなく、あくまで内部統制の有効性に係る証拠を得るために自らサンプリングを行うというのが原則です。となれば、これは「An auditing process restricted to evaluating what management has done」ではなく、「directly test the effectiveness of internal control」の方ではないかと考えるのですが、いかがなものなのでしょうか。

確かに「経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証を行った上で、経営者が評価において選択したサンプルを自ら選択したサンプルの一部として利用することができる」ということが書かれていますので、書かれていないよりはサンプルサイズを軽減することは可能なのでしょう。しかしながら、少なくとも「全部」を経営者のサンプリングにゆだねることはできないのは明らかです。で結局この「一部」がどれくらいのものであれば合理的であるのかはこれからの実務の積み上げになるのでしょうから、ダイレクトレポーティングの不採用が企業負担の軽減になるのか、はたまたダイレクトレポーティングの不採用は換骨奪胎なのか、の判断はこの「一部」の解釈次第になるのではないでしょうか。

また、通常監査の計画は前年度までの積み上げがある程度ベースになっているかと思います。昨年までちゃんとやっているところは今年の監査手続は少なくてもよい、といった判断が当然に含まれるかと思います。といったときに全く白紙から始まる初年度の内部統制監査において「経営者が抽出したサンプルの妥当性の検討及び経営者による作業結果の一部についての検証」というのは厳しめに判断せざるを得ないのではないかと考えます。となると監査人の証拠入手において経営者のサンプルが使用できる範囲はそれほど大きくないのではないでしょうか。

てなことを考えると、ダイレクトレポーティングの不採用による企業負担の軽減も、換骨奪胎度もそれほど大きいものではないのではないか、というのがとりあえずの私の感触です。

読み込みが(特に米基準の)甘いところが当然にあるかと思いますので、いろいろ識者の方に教えていただければと思っています。

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