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日興の不正会計課徴金5億円命令(1/6 日経)


金融庁は5日、日興コーディアルグループに対し、2005年3月期の決算書類にウソを記載したなどとして過去最大となる五億円の課徴金を国に納めるよう命令を出した。すでに証券取引等監視委員会が処分勧告済みで、日興も近く支払いに応じる構え。今後は不正な開示にお墨付きを与えた旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)の責任を当局がどう問うかに焦点が移る。

日興問題についてはすでに他でいろいろ書かれておりますので、今更書き加えることなどありません。てなわけで本筋と全然関係ないツッコミを。

この日興問題が発覚した当初からなのですが「ウソの記載」、という表現をいつも日経さんはされます。おそらく同じ記者さんが書かれているものと想像しますが、この「ウソ」という表現って日本語としてどうなのかなと。

専門的(ってほどでもないですが)に言うと、通常は「虚偽」という言葉を使いますね。

証券取引法
第十条  内閣総理大臣は、有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、いつでも、届出者に対し、訂正届出書の提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項又は第二項の規定による届出の効力の停止を命ずることができる。この場合においては、行政手続法第十三条第一項 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

この「虚偽」という言葉が一般的でないから「ウソ」という言葉を使ったのでしょうかね。ただ、ここで言う虚偽は「意図的であろうとなかろうと、結果として誤った表示となっている」ということです。「嘘」というと、どうしても意図的であったというニュアンスが全面的にでくるような気がします

http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%B1%B3&kind=jn&mode=0&base=1&row=0

うそ 1 【▼嘘】

(1)事実を曲げてこしらえたこと。本当でないこと。偽り。
「―をつく」
(2)誤り。間違い。
「―字」
(3)望ましくないこと。すべきでないこと。
「ここであきらめるのは―だ」

確かに(2)は意図的だけの意味合いではないので、そのように取ることも可能なのかもしれませんが、どうも「悪意あっての」と読めてしまうのは考えすぎでしょうかね。

そして、「嘘」ではなく「ウソ」なのも気になります。外来語でないにもかかわらずここでカタカナが出てくるのはどういった意図なのでしょうかね。同じくgoo辞書によるとこういう例があるようですが、若者ではないのでよく分かりません。

http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A5%A6%A5%BD&kind=jn&mode=0&base=1&row=0

「嘘」だとなんかどぎついし、「うそ」だとなんか折れた煙草の吸殻で分かってしまうような感じがあります。だから片仮名の「ウソ」にした、ってとこなのでしょうか。なんか気になるんですよ。

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12月の新聞記事より(3)

12月21日 米、内部統制ルールを緩和 日本企業30社にも恩恵 ベンチャー除外は見送り


12月21日 日興 不正会計の波紋 下 監視委と埋まらぬ溝
「課徴金さえ支払えば事実関係の食い違いについて白黒つける必要がなくなると考えているのでは」

12月21日 USEN黒字18億円
上場会社であるインテリジェンスが動機の業績を開示していないことから、事業別収益の詳細な内訳は明らかにしていないとか。そんなの理由になるんだっけ?

12月22日 旭硝子 純利益32%減 特損750億円を計上
設備減損で180億円。減損会計2年目での巨額減損は注目

12月22日 ACCESS 課題残した業績修正
ソフト利用権の収益計上。米国基準ではサポート機関に対応させて売上計上する

12月22日 ミサワ、経常益3%増
売上不正計上の影響は1億円のマイナス程度

12月22日 堀江被告求刑 「首謀者」の責任重視
検察側は「破綻を先送りするだけの従来型の事件よりも悪質」、「事業を協力に統括していた」堀江被告の責任は、他の被告よりも格段に重い

12月23日 不正関与の監査法人 刑事罰は「検討課題」 課徴金を先行導入
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20061222.pdf金融審議会報告。なによりも「不正通報義務」というのは会計士の概念を根本的から変えてしまうような気がします。

12月23日 リース設備資産計上義務 2009年3月期から 会計基準委が新ルール案


12月23日 リース資産の計上義務付け 空運自社保有移行も
ANAは自社保有に切り替える方針

12月23日 NEC、9月中間決算を訂正
「日本基準の適用時に一部誤りが起きた」

12月23日 JAFCOもファンド連結 VC5社 全社、新ルールで開示 
伊藤社長は「監査法人とVCの主張とどちらに妥当性があるのか、決算内容に関する意見申立て機関を作るべきだ」

12月23日 日興社長会長辞任へ 「会計に疑義」役員ら指摘
非公式会談での指摘の模様 会計処理は「監査法人の見解に従っただけ」

12月24日 日興の決算訂正監査 みすず、対応苦慮
みすずが日興の訂正報告書に"お墨付き"を与えることは、SPCの非連結を認めた当時の監査を自ら否定することになる

12月26日 アニメ制作各社 DVD不振で利益急降下 
ウィーブで映像権の減損。マーベラスエンターテイメントで棚卸資産の償却期間を短縮

12月26日 日興甘い認識で後手に 不正会計組織関与認める 許されぬグレーな会計
「組織として利益の不正な計上があったと見られても仕方がない」見解の変更に明確な説明はない。ただ純粋ホワイト会計というものがあるのか・・・

12月26日 グッドウィル 改善報告書を提出
認識不足が一連の開示不備の原因とか。ファンドの主導権を握っているのはわれわれではなかったため、ファンドに出資した時点でクリスタルを連結できないと考えた

12月26日 日興 桑島社長を発表 不正会計で調査委設置
http://www.nikko.jp/GRP/news/2006/pdf/061228_02.pdf 決定した委員を見たけど、会計の専門家はいない

12月26日 日興 課徴金納付へ 「答弁書」で異議となえず


12月27日 夢真HDに改善報告書
11/20決算短信の11/30訂正の経緯について

12月27日 橋本総業が訂正報告書
営業部門の元社員が売上高を過大計上。

12月27日 企業の継続性に疑義 オーベン(旧アイ・シー・エフ)
営業キャッシュフローが71億の赤字。これまた著名?企業

12月27日 監査不振 決算訂正の連鎖 上
「来期から義務化の新しい会計ルールを前倒し適用するよう求められた」一般論としてそれはやりすぎでは?

12月28日 会社の継続性に疑義(スカイマーク)
何をいまさら、って感じなのですが。

12月28日 デジタルデザイン経常益3.4倍
「純額方式」による売上減、IBMに対する債権に対し特別損失を計上、現在協議中

12月28日 会計基準委 リース取引の基準案を発表


12月28日 GCA 経常益16億8800万円 
「ファンド連結には非常に違和感があるが、会計制度の流れに従った」

12月28日 日興 訂正報告書 提出ずれ込み 監査法人の変更で
みすず→あらたへ 日興「みすず側で再監査の人員がそろわなかったり、共同監査を求められた」 みすず「決算訂正には合理的な説明がなければ監査ができないが、向こうが協議の土俵に上がってこなかった」

12月28日 監査不振 決算訂正の連鎖 下
PCAOBは今月中旬、みすず、あずさ両監査法人の検査に着手した「日本の当局より厳しい印象だ」

12月28日 投資組合に新株発行 モック10億円調達へ
IS投資事業有限責任組合へ。比率26.2% 参考文献 http://hetareguma.pecori.jp/xoops/modules/wordpress/index.php?p=479

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12月の新聞記事より(2)

12月12日 監査法人や事務所の登録制度導入を決議 会計士協


12月12日 グッドウィルに改善報告書要求 東証
クリスタルの子会社化の経緯について

12月12日 橋本総業 過大売上2億円 有価証券報告書を訂正へ
営業部門の元社員が売上高を過大計上。請求書作成前に取消

12月13日 リース各社、最高益相次ぐ 新リース会計にらみ再編急ぐ


12月14日 株主資本配当率採用広がる
それって、限りなく安定配当に近いのでは?

12月14日 試練の新興株市場②
ヒューネット 「ライセンス料は全体の一割を供与時に受け取る。残りは売上債権として資産計上し、使用期限である数年以内に供与先が製品を販売した場合に、その売り上げ実績に応じて回収する仕組み」??

12月14日 米内部統制ルール 検査基準を緩和
SECの方針が明らかに

12月15日 内部統制「欠陥」6社が開示
米国上場日本企業の話。強制開示前?

12月15日 総合臨床の今期最終赤字3000万円へ 売上高への計上方法変更で
前期までは進行基準のようなもの?今期は少額の案件は終了時に一括計上

12月15日 増資の一部払い込まれず タスコ


12月15日 新株予約権の発行中止を発表 オープンループ
クォンツが仮処分申請

12月15日 会計監査人をトーマツが辞任 セラーテム
一時会計監査人として隆盛監査法人。「新たな会計監査体制を検討すべくトーマツと協議を重ねたが合意できなかった」

12月15日 試練の新興株市場③
ロータスの大量保有報告書によるとサンライズテクノロジーの保有率は11%。サンライズTのペイントH事業譲受のめどは立たず

12月16日 日興に課徴金 特別目的会社連結外し


12月16日 企業の粉飾決算など 会計士に不正通報義務 金融審提言へ
金融審報告書原案に盛り込み予定

12月16日 日興に最大の課徴金 2005年3月期決算 「不適切な開示」
監視委の調査→勧告へ

12月16日 安楽亭9月中間最終損益を訂正
10月に実施した固定資産売却で出た損失を、上期に減損損失として計上すべきだと監査法人から指摘を受けたため。

12月17日 ユニオン 過年度の決算訂正
連結子会社だったTTGの決算訂正を受け

12月18日 契約交渉の外部委託増える SOX法対策で透明化
外部委託で業務プロセスが透明化するとか。逆にブラックボックスになるような気がしないでもないが

12月18日 ミサワホーム 「不適切な会計処理」 九州子会社 5年分の決算訂正へ
11/10に事実公表

12月18日 日興疑惑で適正意見 みすず調査チーム
みすずは日興の不適切な利益計上疑惑について「会計上も監査上も問題ない」としている

12月18日 「合同会社」選択 監査法人可能に 金融審が最終調整


12月18日 日興 決算自主訂正へ 「利益水増し」指摘で


12月18日 ミサワ九州 不正会計 6年で726棟
国交省は経審の虚偽申請での処分へ。

12月19日 アジア投資もファンド連結 中間決算短信を訂正
ジャフコ以外はフル連結決算を発表することに

12月19日 日興、課徴金5億円 2005年3月期純利益を118億円減額 監視委勧告
EB債の発効日改ざんにより40億利益水増し。それを直すついでに連結しようか、ということらしい

12月19日 試練の新興株市場 新配当ルールで波紋
USENが資本準備金→資本剰余金を配当原資へ おかげでこんな余波も http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2006/061226_1.pdf

12月19日 内部統制プレミアム
TDKのSOX法コストは人件費を別に10億円。「内部統制ルールに伴う文書化は、企業にたまった暗黙知を株式市場に理解されやすい形式知に翻訳する作業といえる」 そんなきれいなものじゃないですよ・・・・

12月19日 迫る内部統制
「日立は100億円」 まあここは商売上大きく言う必要があるでしょうから・・・

12月19日 不正関与の監査法人 課徴金を提言へ
刑事罰との両立は金融庁が難色。二重処罰を禁じる憲法に抵触する恐れがあるため

12月19日 日興・監視委なお食い違い
日興側「SPCを非連結とするという会計処理そのものが間違っていたとは今でも思っていない」公認会計士の磯崎哲也氏「重要性や保守主義の原則から考え、連結から外すべきではなかったのではないか」

12月19日 カネボウ 12億円の債務超過に 9月中間 貸倒引当金300億円超
親会社に対する貸付金が回収リスク高いらしい。もうわけが分からない。トーマツは意見差控

12月20日 カネボウ化粧品の決算期 花王3月期に変更へ


12月20日 内部統制ルール緩和 米、監査項目を半減 2007年度決算から
監査項目数が216から108へ。でも負担は数では量れない。

12月20日 特別目的会社 情報開示を強化 2008年3月期から義務化
年明けにも公開草案を公表し、06年度中に最終案

12月20日 特別目的会社 国際基準は「連結」
「投資育成目的」であっても原則、連結からはずすことができない仕組み

12月20日 日興 不正会計の波紋 上 
「書類改ざんが発覚しベンチャー投資以外の目的となった」という説明が「一度認めた決算を訂正する理由として妥当なのかどうか」みすず幹部は連日深夜まで議論を続けている。

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12月の新聞記事より(1)

とりあえず、年末の日本の近況に早く追いつくべしと、新聞を乱切りしたもののメモ。
まず上旬編。

12月1日 内部統制 米、過剰規制を見直し 来年末にも改革法緩和


12月2日 丸正が改善報告書提出
「得意先の支払い明細書から値引の存在を認識できなかった」

12月5日 米、日本の監査法人を検査 会計監視委 あずさ・みすず 来週にも
米国出張は主権侵害の可能性があることから、テレビ会議で。米国に上場している以上、米国監督機関に監督に服するのはある程度仕方がないはず

12月5日 会計厳格化 新興企業にも影響大
ジャパン・デジタル・コンテンツ 匿名組合の出資評価見直し フライトシステムコンサルティング のれんの一部償却 アルゼ レンタルへの営業形態変更による会計処理変更が認められず

12月5日 アパマンショップ 集計遅れる 貸借対照表など一部を先行発表
こういう手もありか

12月6日 東海パ・特殊紙の経営統合 プーリング法採用へ
かなり微妙な比率であるが、監査法人のOKはとったの?

12月6日 会計士が足りない 監査法人、採用競争が激化
こうしてまた米国公認会計士が雇用の調整弁として使われるのである

12月6日 TTGに課徴金1億円超 
どうでもいいが「ウソの開示書類」という日経の表現ってどうよ?

12月7日 日興 決算訂正巡り協議
証券取引等監視委員会調査の報道に対して

12月7日 監視委 TTG処分勧告
費用計上の先送りなど ジャスダック上場廃止

12月9日 監査法人に改善命令導入
金融審の論点整理案

12月9日 東海染工が業績訂正 不正経理発覚で
元営業課長が在庫報告書の改ざんなどで架空の売上高

12月9日 すみやに改善報告書要求
11/17リベート取引を巡り不正な会計処理があったとして決算訂正

12月9日 ファンド連結新ルール VCの決算 分かりづらく
「株主から集めた資金でいくら稼いだかという企業本来の収益を示さない」との見方が多い

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寒中見舞い申し上げます

喪中につき、新年のご挨拶は遠慮させていただきます。

昨年の会計の世界。本当にいろいろなことがありました。
10大ニュースにつきましては、「財務アナリストの雑感」で取り上げられていますが、その最後で書かれている通り、このような記事が組めるということが、すでにニュースではないかと個人的には思います。

私が会計ネタを中心としたブログを立ち上げたときは、本当にこんなネタばかりでブログが維持できるのか不安でありましたが、いまやすべてを追いかけるのが不可能になるくらいネタ満載の日々となっておりまして、数年前とは隔世の感があります。

そんなネタ満載の日々にもかかわらず、そして日興、ミサワと美味しいネタ続きであったにもかかわらず、12月は多くの日々を上海出張とその異動で費やすことになり、12月の会計的世間に全くついていくことができませんでした。この1月改めてスタートラインにたとうと、必死に12月の出来事をフォローしている状況です。

本年も公私共に多忙になりそうですので、どうなるか分かりませんが、できる範囲で更新をしていきたいと思いますので、地道にお付き合いいただければ幸いです。

本年もよろしくお願いいたします。

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