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【映画】男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)

(2/28 川崎チネチッタ)

さて、いよいよ、また吉永小百合。2年前に結婚した旦那をあっさり殺しての再出演。

しかし第9作および本作で感じるのは、映画のなかに、ピーンと張った緊張感みたいなものである。これが吉永小百合という女優に帰属するものなのか、あるいは歌子さんというキャラクターに帰属するものなのか、判別しかねるのであるが、第9作で寅が歌子さんと二人でいるときの緊張感に耐えかねて草団子の素を粘土細工さながらにこねくり回してしまうシーンや本作のタイトルにもなっている「恋やつれ」のシーンに表れているように見える。そう。「恋」やつれとではない。この人のためになにかしなければならない、という無言の圧力を吉永さん、いや歌子さんが持っており、それに応えようとすることで寅はやつれ、そして歌子さんが父親と和解し、施設への就職が決まり、全ての問題が解決すると、寅はほっとすると同時に、役割を終えた寂寥感に包まれる。

ただ、その緊張感がほぐれた一瞬に出た言葉「浴衣、きれいだね」。このひと言で映画全体が淡い恋愛風味に染まっていき、観る側の緊張感もほぐしていく。こういう自然に女性をほめる言葉というのは、このシリーズでありそうで、実はあまりないのでは?

というように、歌子さんに対する失恋色は薄い。逆にその役割を担わされているのが高田敏江さん扮する絹代さん。わざわざ島根までさくらと社長を連れて失恋劇を演じてしまうまでのくだりでいつもどおりのどたばた劇が見られる。ただ、失礼ながら美形ではない絹代さんに岡惚れしてしまった過程があまり描かれていないので、いまいちこの失恋にも(このシリーズにおいての)リアリティが感じられない。

というわけで、全体的にタイトルとは裏腹に恋愛色が薄い、自立と和解をテーマとした人間ドラマとして観るのが正当なのであろう。

そして、観終わった後帰りの駅では、約35年後の歌子さんの張りぼてが微笑んでいたのでした。

それ以外を箇条書きで
・ 夢オチでは顔を見せない寅の嫁さんが登場。目覚めた電車の中で迷惑がっているのが吉田義夫さん。夢にリアルにと忙しい人である。
・ 島根を去るさくらと社長のシーンで、駅で延々と流れているのは学校のブラスバンド。曲はなぜかタイケの「旧友」。下手くそさが非常にリアル。もとホルン吹きにとってはひたすらしんどい曲である。
・ そして津和野で流れていたのは桜田淳子・・・
・ 吉永さん、声だけのシーンですぐ分かる。すぐにでも「シャープの液晶」などといいかねない声色。
・ 寅が恋やつれなら博は労働やつれなのだそうだ。おそらく博より労働時間の長い私は一向にやつれない・・・
・ 諏訪家で歌子さんに頭をなでられたり、抱っこされたりの満男。この中村はやと君、当時そうとうやっかまれたのではなかろうか。

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