IASB-FASB ディスカッションペーパー 「顧客との契約における収益認識についての予備的見解について」
IFRS導入する際に一番混乱するのが、この収益認識だと思います。どうも日本とは違うらしい、でも日本基準もIFRSも文言上多くを語っているわけではない。何をどうしたらIFRSに組み替わるのか、つかみどころがないように思えます。
それは今後IFRSの採用に動きつつある米国でも、あまり語らないIFRSに戸惑っているように見えます。なにしろ、米国には「収益認識」といった一本の基準がない代わりに、いろいろなところに収益認識の基準が見え隠れしていて、Rule basedの名に恥じずとにかく細かい。これまた全貌が掴みにくいものであります。
そのような問題意識から、米国FASBとIASBは共同で収益認識の基準作りに取り組んでいます。昨年の12月にでたこのディスカッションペーパーはその中間報告とでもいえるものかと思います。出たのは知っていたもののサボって読んでいなかったのですが、経営財務2/23のASBJ豊田氏の論考がわかりやすく(といってもマニア向けには、という話ですが)まとまっていましたので、それをさらにかいつまんで生きたいと思います。
まず問題意識として、米国に対しては「稼得過程」に問題があるとのことです。「稼得」とは、日本で言う「実現」と捉えれば当たらずしも遠からずといったところだと認識しているのですが、この「稼得」の意味合いと「資産および負債の増減」の関係があいまいであり、それが100種類以上もの収益認識ガイダンスを生み出している、ということのようです。一方IFRSに対しては、いろいろ書いていますが、要は「指針が少ない」というところに尽きるようです。米国からしてみればよくこの少ない条文数でワークしているのか分からない、といったところなのでしょう。
これらの問題点の解決策として提示されているのが「資産負債モデル」という考え方であり、ざっくり自分流にまとめると以下の通りかと思われます。
・ 企業は顧客と契約したときに対価を請求する権利を得るとともに、財やサービスを顧客に提供する義務を負う。
・ 上記の権利と義務を測定し、その純額ポジションが貸借対照表に計上される。
・ 契約資産が増加するか、契約負債が減少することにより、純額ポジションは借方側に計上され、その貸方勘定として収益が認識される。それは通常、企業が義務を果たし、負債が変動することによって生じる。
・ 提供すべき義務は、いろいろな要素に分解可能である。契約当初にそれぞれの要素に対して対価の額を配分しておく。義務が履行されるたびに、配分した金額の収益が計上されることになる。
シンプルといえばシンプルなのですが、権利と義務、特に義務の測定って??という感覚に陥ります。論考はこれから詳解に入っていきますが、ひとまずこの稿はここまで。
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