投資家からみたIFRS
これも企業会計3月号。野村證券の野村さんの論考です。
野村さんは、わが国の会計基準とIFRSの間には未だわが国の企業経営に重要な影響を及ぼしうる重要な差異が存在しているものと考えている、ということで次の3点を個別論点として検討しています。
1. 包括利益
損益計算書に表れない資本の部の変動を示す包括利益ですが、IFRSでは損益計算書に記載されるが、日本では明示的に記載されるものではありません。といっても、日本基準においても、開示されている情報から包括利益についてかなりの部分を読み取れるものであることは野村さんも否定していません。しかしながら、昨年度の決算において、純利益と包括利益の増減率の方向性が逆方向を示したことから、明示的に包括利益を表示した場合、今までと異なるメッセージを発信することになるのではないか、と指摘されています。
もっとも、包括利益自体の情報としての有用性については常に議論されているところではありますが、開示されていても投資行動にはさほど影響していないという意見も根強かったと思います(すみません、ソースがすぐ出てきませんが)。
2. のれん
日本基準では定額償却、IFRSでは償却せず減損処理、というのは典型的な両者の差異として有名です。今年度の在外子会社における会計基準に対するIFRS等の導入にしても、のれんについては、現地で償却していないものを、日本側で償却させる処理をしています。これについては、企業結合が業績に与える影響は大きくなってきており、一刻も早く処理を収斂させるべきだとしています。
また、収斂の方法についても問題意識を持っており、ある一定の日をもって、それ以前に取得したのれんは償却継続、それ以後に取得したのれんは非償却となり、混乱することを危惧されています。
ただ、これについては、米国がのれんの非償却を導入した際には、既存ののれんの償却についても基準適用とともに停止したという記憶があります。おそらく実務的にそのような方向になるのではないでしょうか。
3. 過年度遡及修正
会計方針の変更、表示の変更、誤謬の修正があった場合、それを当期のインパクトとするのではなく、過去に遡って修正をしなさい、という基準です。日本ではあまり過去を修正する、という実務は行われていないのですが(粉飾等あった場合は別ですが)、IFRSやUSGAAPではこれを要求しています。日本でも近いうちに草案が出そうですので、収斂の方向はすでに見えています。
しかし、実務としてはこれは大変なんですよ。とくに、何年間か遡って財務諸表を修正しなければならない、ってことになると、すでに必要な資料を廃棄していたり、全子会社に号令をかけて数値を拾わなければないとか、いろいろな手間が予想されます。個人的には、やめてほしいんですが・・・
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