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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク)その5 財務諸表の構成要素の認識 、財務諸表の構成要素の測定

以前も書いたとおり「認識」とは記帳し、財務諸表に表示することですが、大原則として、以下の2点が述べられています(para.83)。

・ 当該構成要素(つまり資産、負債など)にかかわる将来の経済的便益が企業に流入(企業から流出)する可能性が高い。かつ、
・ 当該構成要素の原価または価値が信頼性をもって見積もることができる。

この原則が資産、負債、収益、費用のそれぞれの項目について貫かれています。

ちなみに資産のところでは、「資産は将来の経済的便益の流入の可能性が高くなり、資産の原価または価値が信頼性をもって見積もることができるようになったときに貸借対照表上認識する」と(para.89)している一方、収益(income)のところでは「収益(income)は資産の増加または負債の減少に関連した将来の便益の増加が発生し、それが信頼性をもって見積もることができるようになったときに損益計算書で認識する」(para.92)としており、ここでも資産負債を先に決定し、それにより損益項目を決定する原則を見ることができます。

そして、その項目を「認識」する際に、いくらで認識するか、すなわち「測定」の問題については、現在いろいろなものが使われているとして、次の4つの測定属性を挙げています(para.100)

・ 取得原価(Historical Cost)
取得時に支払った現金およびその同等物もしくは取得時に交換した対価の公正価値にて測定する方法。
・ 現在原価(Current Cost)
現時点で同じ資産を取得すればいくらかかるかで測定する方法
・ 実現可能(清算)価値(Realisable (Settlement) Value)
現時点で当該資産を処分すればいくらもらえるかで測定する方法
・ 現在価値(Present Value)
将来のキャッシュフローを現在の価値まで割り引いた価格で測定する方法

この中では取得価額がもっとも普遍的であるが、他の方法と併用して使用されている、としています(para.101)。このフレームワークが制定されたのはまだ1989年。まだ、いわゆる「時価」というものが測定属性としては前面に出てきていなかった時代であり、そのため現在価値よりも取得原価が優勢だった、ということかもしれません。米国で減損会計が出てくるのも、デリバティブの時価評価というのが出てくるのもまだしばらく先のことです。

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