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男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)

5/30 川崎チネチッタ

正月から見始めてついに、リアルタイムで観た映画までたどり着いてしまいました。
そして自分にとっても記念すべき作品。3か月の放浪のたびに出た末に日本に帰ってきてみて、改めて日本を感じた象徴的な作品。そして舞台挨拶を見た最初の作品でもあります。
ついこの前のことだと思っていたのですが、すでに20年がたちます。

しかし、今回初期の作品からずっと観てきてみると、登場人物に老化が忍び寄っているのが明らかに分かります。まあ、前回が35作目で5年分くらい飛んでいるので無理もないのですが、くるまや(いつの間にかとらやより改名)の面々は一気に老け込んだ感じですし、太宰久雄さんもかなり痩せてきてしまっている(ただし佐藤蛾次郎さんだけはよく分からない)。逆にレギュラーではない夏木マリさんや笹野高史さんは現在と比べてしまうので妙に若く見えてしまうという不思議な現象を感じます。しかし、今や大河ドラマで秀吉を演じる笹野さんの気持ち悪い役どころが見ものでもあります。

そして、異人さんに連れられて行っちゃった後藤久美子が本作から4作連続でマドンナを務めるわけですが、当時15歳。悔しいけど今見ても可愛い。前回35作では中学生役だった満男こと吉岡秀隆はいきなり浪人生になって実質主役を演じています。今回は寅さんに覇気がない分だけ、かっこ悪い部分、身勝手な部分、情けない部分などを一手に引き受けています。子供のときの演技に比べればあまりぱっとしない演技であるようにも感じるのですが、このぱっとしない度合いもまた演技だったということなのでしょう。

そして、覇気のない寅さん。リアルタイムで観たときは分からなかったのですが、この頃からかなり体調に無理があった様子。明らかに出演時間を絞ったシナリオになっており定番の喧嘩も、恋もほとんどなく終わってしまいます。特にラストシーンでくるまやのメンバーと電話で次々と話すシーンは、この回で終シリーズを終わらせることもある程度考えていたのかな、とすら感じます。
そんななか、かっこ悪いシーンを満男に押し付けた寅さんは今回はひたすらカッコいい。

「私のようなできそこないが、こんなことを言うと笑われるかもしれませんが、私は甥の満男は間違ったことをしてないと思います。慣れない土地へ来て、寂し い思いをしているお嬢さんを慰めようと、両親にも内緒ではるばるオートバイでやってきた満男を、私はむしろよくやったと褒めてやりたいと思います」(from wiki)

言わずもがなのベタな台詞と評価する人もいますが、私は20年ぶりに聞いたこの台詞に痺れました。こういうことを言える伯父さんになりたいですね。って私一人っ子だから甥もいないのですが。

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