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国際財務報告基準の解釈指針 第8回 「顧客からの資産の移転」

いまさらですが 経営財務 7/20 より
IFRIC委員の鶯地さんのインタビュー記事です。

IFRIC(国際財務報告基準解釈指針委員会)18号 「顧客からの資産の移転」とは、企業がサービスを提供する際に、そのサービス提供に必要な資産を顧客から提供を受ける場合の企業側の会計処理を定めたものです。

といってもぴんとこないと思いますが(私もです)、

:今まで誰も住んでいなかった土地に、新たに住宅地を開発する場合、電力供給に必要な引込み線や変電施設などが新たに必要になります。その工事費を電力供給会社が負担するのではなく、顧客である住宅提供会社、ひいては住宅購入者が負担するというようなケースが当てはまります

とのことです。

こういった「引込み線や変電施設」の供給を受けた電力会社がその資産をどのように会計処理するかですが、現在の実務はばらばらなのだそうで、そこでIFRICが一定の解釈指針を示した、というわけです。

これらの資産は無償で提供を受けたとしても、公正価値で資産計上する場合が多いであろう、と鴬地さんはおっしゃっています。これはサービスを提供する義務を負いつつ資産を受領したわけで、そういう意味で対価を支払っているから、ということです。

これはすなわち、当該資産を計上する際には
(借)資産
(貸)サービス義務
となるわけで、そのサービス義務を履行した際に
(借)サービス義務
(貸)収益
となることを意味しています。

したがって、どのような

では、どのようなサービス義務を企業は負っているのか?というと
・ネットワークへの接続
・サービスを受けるための継続的アクセスの提供
この2つの要素に分けることができる、というのがIFRIC18号の考え方である、とのことです。

つまり、
・水道のパイプをつなげる義務
・水道を通して水を供給する義務
の2つの要素に分けることができる、ということです。

ただし、「水を供給する義務」については、通常はその資産を提供することにより供給する料金が安くなる等の事象があるはずであり、それがない場合は「水を供給する義務」はその他の規制に起因するものと判断されるとのことです。

すなわち、そのような資産を提供したからといって、料金の優遇等を行うということがなければ、資産の提供により「水を供給する義務」は発生しないことになります。

したがって、資産の提供によって発生する義務は「パイプをつなげる義務」のみであり、「パイプをつなげる」時点で義務が消滅したことになり、収益を認識することになります。

すなわち、一時に収益を認識するばあいが多くなる、ということになります。

なんとも、マニアックな業界のマニアックな処理であり、汎用性はないように思えますが、鴬地さんはおおきな影響力を持ちうる解釈指針であると考えているようです。

つづく(予定)


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