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【読書】ギスギスした職場はなぜ変わらないのか 手塚利男 Nanaブックス

著者のブログでは3/15発売、3/16店頭と書いてあるので、まだあまりweb上の書評は出ていない様子です。書店にぶらっと入り目に付いた本を手にとったらこれだった、ということはやはりギスギスしている自覚があるということか。

類書に比べ、力の抜き方がいいと思います。どんなに職場を活性化しようとしても「残り二割り位の人のモチベーションは高まらないで残る」と言い切り、それでもいいと、ポジティブな割り切り方をしています。あまりに「熱い」本だと退いてしまいますからね。

かく言う私も、職場旅行、運動会、飲みニケーション、若手時代こういったものをどちらかというと苦手で、切り捨ててきたほうの立場です。世の中の流れもそうで、こういった習慣は徐々に廃れてきました。そして、今現在9人の部下を抱える立場になりました。今更上記のような手段でコミュニケーションをとることは自分が嫌がっていたことを押し付けることになりますし、中途採用が半分くらいとなり部下の価値観が多様化した現在当時と同じ効果があるかは疑問です。そんななか、そうでなくても人とのコミュニケーションがどちらかというと億劫な上司(つまり私)は何をすればいいのか、試行錯誤が続きます。そもそも9人の部下。一人一人の報告を聞いているだけで定時間が過ぎてしまいます。部下は残業削減が至上命令となっていますので、自分の抱えている仕事は残業時間にやらざるを得ない。深夜に帰宅、そして疲労、コミュニケーションが面倒、といった悪循環に陥っていきます。どこかで断ち切らなければあかんのですが、抜本的な解決策はまだなし。

とりあえず、バーバルコミュニケーションを億劫に感じないようになりたいと思うのですが、ってmixiやブログに書いているようじゃまずダメなのかも・・・

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投資家からみたIFRS


これも企業会計3月号。野村證券の野村さんの論考です。

野村さんは、わが国の会計基準とIFRSの間には未だわが国の企業経営に重要な影響を及ぼしうる重要な差異が存在しているものと考えている、ということで次の3点を個別論点として検討しています。

1. 包括利益

損益計算書に表れない資本の部の変動を示す包括利益ですが、IFRSでは損益計算書に記載されるが、日本では明示的に記載されるものではありません。といっても、日本基準においても、開示されている情報から包括利益についてかなりの部分を読み取れるものであることは野村さんも否定していません。しかしながら、昨年度の決算において、純利益と包括利益の増減率の方向性が逆方向を示したことから、明示的に包括利益を表示した場合、今までと異なるメッセージを発信することになるのではないか、と指摘されています。

もっとも、包括利益自体の情報としての有用性については常に議論されているところではありますが、開示されていても投資行動にはさほど影響していないという意見も根強かったと思います(すみません、ソースがすぐ出てきませんが)。

2. のれん

日本基準では定額償却、IFRSでは償却せず減損処理、というのは典型的な両者の差異として有名です。今年度の在外子会社における会計基準に対するIFRS等の導入にしても、のれんについては、現地で償却していないものを、日本側で償却させる処理をしています。これについては、企業結合が業績に与える影響は大きくなってきており、一刻も早く処理を収斂させるべきだとしています。

また、収斂の方法についても問題意識を持っており、ある一定の日をもって、それ以前に取得したのれんは償却継続、それ以後に取得したのれんは非償却となり、混乱することを危惧されています。

ただ、これについては、米国がのれんの非償却を導入した際には、既存ののれんの償却についても基準適用とともに停止したという記憶があります。おそらく実務的にそのような方向になるのではないでしょうか。

3. 過年度遡及修正

会計方針の変更、表示の変更、誤謬の修正があった場合、それを当期のインパクトとするのではなく、過去に遡って修正をしなさい、という基準です。日本ではあまり過去を修正する、という実務は行われていないのですが(粉飾等あった場合は別ですが)、IFRSやUSGAAPではこれを要求しています。日本でも近いうちに草案が出そうですので、収斂の方向はすでに見えています。

しかし、実務としてはこれは大変なんですよ。とくに、何年間か遡って財務諸表を修正しなければならない、ってことになると、すでに必要な資料を廃棄していたり、全子会社に号令をかけて数値を拾わなければないとか、いろいろな手間が予想されます。個人的には、やめてほしいんですが・・・

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国際会計基準がやってくる(3/12 日経)

ビートルズみたいな言われ方をされているこの取材記事。東証の西室さんと経団連の島崎さんへのインタビューです。西室さんは元東芝の社長、島崎さんは住商の役員であります。

西室さん
:外国企業や投資家の関心をひきつけるためにも早く強制適用に移行すべきだ。
:東証も市場運営者の立場で先頭に立って手伝いをする。号令をかけるだけでなく東証の決算をなるべく国際基準で作ることも必要。四半期開示などの制度面で必要な点があれば変えていくべきだろう。

これって、株式会社東京証券取引所がIFRSで決算をする、って言ってますか?「号令をかけるだけでなく」と言っているから多分そうなのでしょう。事務方の苦労が思いやられる発言であります。東証が率先垂範したからといって、どれだけの効果があるのかは疑問ですが。

とまあ、いけいけどんどんの西室さんに対し、島崎さんは強制適用の動き自体には賛同しているのですが、

:実務面でどんな対応が必要なのか、もう少し詳しく調べないといけない。
:1年ぐらいかけ欧州の先行事例などを研究したい。

と、比較的慎重な姿勢を示しています。というより、実務家からすればこれが真っ当な意見であるかと思います。欧州が数年かかり、米国がこれから5年くらいかけてやろうとしていること。英語が比較的流通していないわが国で同じことをやろうとするわけですから、それなりの時間がかかります。先行している会社の任意適用ならともかく、強制適用の拙速な運用は市場の混乱を招くだけであると考えます。

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原則主義への対応と解釈指針の役割

企業会計3月号。すでに1月前の号となっていますが、特集が「IFRS導入のインパクト」でIFRSネタの宝庫となっています。その中からIFRICの委員である鶯地さんの論考。IFRICとは国際財務報告解釈指針委員会、つまりIFRSの解釈の指針を決めるところです。そこがどのような方針で動いているか、そしてそれに日本がどう絡んで行くべきか。まとめてみました。

原則主義の特徴と利点ということで、以下の点が挙げられています
・ 法律を前提としたルールを作らない
・ 数値基準を唯一の判断基準としない
・ 産業別、商品別といった個別のルールを作らない
・ 判断基準となるものの確証や証跡の形式を限定的に定めない
・ ルールに不明確な点があれば概念フレームワークに立ち返って判断する

つまり、この数値を越さなきゃ大丈夫、この確証をそろえれば大丈夫、といった解釈を認めないということであります。迷いがあったら常に基本に立ち返る。ある意味宗教的な信念をも感じます。

しかしながら、基本に立ち返っても複数の解釈が成り立つ場合には、複数の会計処理が成り立ち、財務諸表の比較可能性が失われます。ダイバージェンス(divergence)と呼ばれるこの問題、それぞれの企業がベストの判断をしているはずであり、多少の違いであれば許容範囲内にあるのが通常ですが、ときにそれが市場の信頼を逸するほどに大きな差異が生じると判断された場合、IFRICの出番となるわけです。

といっても、解釈指針を公表すれば、その解釈指針をさらに解釈する指針が必要になる、というように、解釈指針を乱発すれば、結局それは原則主義から大きく逸脱したものとなってしまいます。したがってIFRICでは取り上げるべき判断基準を明確にし、公表する指針数は極めて限定されたものとなっています。この論考ではいくつかの判断基準が挙げられていますが、逆に取り上げられなかった理由として以下の2点が主なものとしています

・ 重要性がないもの
・ IFRSの基準が明確であると判断されるもの

そして、もともと複数の会計処理が考えられるためIFRICの俎上に載せようと考えていた事象が、後者と判断された場合、解釈は1つであり、他の選択肢は明らかな誤りということになってしまい、過年度の財務諸表の修正等、影響が大きいものになる、と指摘されています。原則主義の怖いところと言えるかもしれません。

そして、限定された議題しか取り上げないIFRICでは、現在適用が義務付けられている欧州企業の声が大きくなる傾向にある。そのような積み上げがアダプション後の日本に悪影響を与えることを危惧しています。実際に適用する企業からのコミュニケーションの絶対量が足りないことを切に訴えています。住友商事に在籍したままIFRICの活動を行っている鶯地さんだからこういった危機感を肌で感じることができるのでしょう。

そして、財務諸表の「読者」に対しても、財務諸表を「解釈」する能力が必要であり、原則主義というのは財務諸表の読者の力量も試すものであるとしています。総資産がいくら純利益がいくら、という数値だけではなく、注記情報を含めた全体像を読みこなす力が求められるというわけです。

作者であり、読者でもある私にとってはなかなか耳の痛い意見でありました。

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24 February 2009: First meeting of Monitoring Board is 1 April 2009

24 February 2009: First meeting of Monitoring Board is 1 April 2009

:The first meeting of the new IASC Foundation (IASCF) Monitoring Board will take place in London on Wednesday 1 April 2009, in conjunction with the meeting of the IASCF Trustees, which is scheduled for 1-2 April 2009 in London.

モニタリングボードは4/1の開催が決まっているようです。前回の記事

:しかし、発足に向けた最終確認作業で、欧州委員会域内市場・サービス担当のマクリービー委員の署名だけが得られていない状況で、発足時期については見通し が立たないという。

と引用したのですが、見通しが立ったのでしょうか?

でもこちらによると
:The relationship and responsibilities of the participating organisations are described in the Memorandum of Understanding (MoU) developed by the members of the Monitoring Board and the Trustees. The Trustees formally approved the MoU in New Delhi. The formal process of signing the MoU is now under way and should be completed shortly.

ということですし、こちら
:The IASCF has released the Memorandum of Understanding (MoU) related to the Monitoring Board. This is in process of being signed by all parties.

ということなので、今日現在でまだサインがされてない、というのは事実であるようです。サインを見越して、期日だけをリリースしている状態なのでしょうか。”should be completed shortly”という時期は過ぎているような気がしますが。

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【映画】男はつらいよ 寅次郎子守唄(第14作)

3/8 川崎チネチッタ

直近の作品に比べたらインパクトの面でやや劣るものの、これはなかなか地味な名作。それぞれのキャラが実にいい味出しています。

十朱幸代さん
今回のマドンナ。もちろんだれもが知る大女優なのですが、私の人生とはかなりすれ違っているようで、今までもこの方の印象はあまりないのです。本作品では30歳なりの可愛さを好演しているのですが、他の人の印象のほうが強いです。吉永小百合さんと浅岡ルリ子さんにはさまれた形になっているのが不運なのかもしれません。

上條恒彦さん
今回のマドンナにストレートに告白する青年。髭中顔だらけ(作品中のおばちゃんの台詞)の地顔で出ているだけなのに、貧乏で薄汚いが純情という役柄がにじみ出てくるところがすごいです。

下條正巳さん
「上條さんはかけ毛布、下條さんはしき毛布」というCMがかつてあったが、その下條さんの親父が本作品ではじめての三代目おいちゃんを演じる。うん、もちろん森川さんの演技は神だし、松村さんの演技もよかったが、やっぱり私にとっておいちゃんは下條さん。いい悪いの問題ではなく、慣れ親しんでいるのだ。そして、ダメ親父の月亭八方さんに、上手く言葉に出来ないながらも食って掛かろうとする演技は、初登場いきなりの名演であるといえましょう。

三崎千恵子さん
初めての下條さんとも息のあった演技をしてくれたが、今回は子供ができなかったわが身に、寅さんが連れてきた赤ん坊を授かってから、実の親に引き渡すまでの喜怒哀楽を味わい深く見せてくれました。いつもとは一味違うおばちゃんが見られる作品です。

太宰久雄さん
博の怪我が軽傷ですんだと分かった後、従業員を全員早退させ、一人残った工場でぽつんと「良かった・・」とほっとするシーンが印象的でした。いつもは工場の経営のことで頭が一杯のシーンばかり出てくるため、今回のこのシーンでもまた、一味違う社長が見られます。

春川ますみさん
第3作で寅さんと見合いした駒子さん?と思いきや別人の役柄。ただ、ダメ男につかまる水商売女という役柄は同じで実にはまっています。呼子の港での寅さんとの粋な会話は第11作のリリーさんを彷彿させ、本作品でのマドンナがいったいどちらなのか悩んでしまいます。

渥美清さん
マドンナの職場である病院で仕事中の何気ない光景を電柱の陰から優しいまなざしで見守るシーンが印象的。本作品ではあまりマドンナとの想いが交差する場面があまりないため、逆にこうしたシーン一つ一つが心に沁みます。

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