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引当金各論-賞与引当金

引当金各論-賞与引当金

@isologueさんに補足されたおかげで、金曜日のアクセス数が膨れ上がっています。いい加減なことは書きにくくなったなと思いつつも、限度がありますので、いろいろ違っている面があればご指摘いただければと思います。IFRSについては2-3年前とは違い、今や私等より詳しい方は大勢いますから・・・。


今回は賞与引当金。

「論点整理」においては「企業が労働協約等によって賞与の支給を従業員に対して約束している場合、これに基づいて期末日現在で企業が負っている債務額を引当金として計上するものと考えられる」、としています。契約で支払うことが明記されているのであれば、期末時点での債務であることには間違いないでしょう。

問題は、基本的に業績に左右されることが多い賞与引当金について、どこまで合理的な見積りが可能か、というところではないかと思います。

日本ではかつて法人税施行令で賞与引当金の損金算入が認められており、算入の限度額が決められていました。暦年基準、支給対象期間基準どちらかで計算することになっていました。計算式はすっかり忘れてしまいましたので(汗)、こちらなどをご参照ください。

法人税施行令が廃止され、賞与引当金の損金算入が認められなくなった後、「未払従業員賞与の財務諸表における表示科目について」がJICPAから公表されました。期末時点で金額が確定しており、その計算が支給期間に基づいていれば未払費用、それ以外の臨時の要因であれば未払金、期末に金額が確定していなければ賞与引当金として計上する・・・。認識基準と測定基準が非常にざっくりなのに、こういう表示科目のことになるとなぜか異様に細かい日本基準。これに基づけば3月末には6月賞与がほぼ確定している会社でも、6月時点では12月賞与など固まっておりませんから、期末では未払賞与、第1四半期末では賞与引当金などという表示が原則となってしまい、それってなんの意味が・・・ってことになっております。

ともあれ、世間的な常識として賞与の存在が定着している日本のことですから、計算式があればもちろん、支払っている過去実績等で合理的に見積りができれば、引当金の計上は可能であるかと思います。

これがIFRSとなりますと、引当金の基準のIAS37ではなく、従業員給付について包括的に定めたIAS19の範疇に含まれます。Para.17には以下の、IAS37をそのまま引用したような文言が並びます。

17.An entity shall recognise the expected cost of profit-sharing and bonus payments
under paragraph 10 when, and only when:
(a) the entity has a present legal or constructive obligation to make such
payments as a result of past events; and
(b) a reliable estimate of the obligation can be made.

つまり、現在の法的または推定的義務があり、合理的な見積りができることが条件とのこと

そして現在の義務については以下の記載。支払う以外の現実的な選択肢がない場合とのこと。
A present obligation exists when, and only when, the entity has no realistic alternative but to make the payments.

そして合理的に見積もれる場合として、次の3点を挙げています。
20 An entity can make a reliable estimate of its legal or constructive obligation
under a profit-sharing or bonus plan when, and only when:
(a) the formal terms of the plan contain a formula for determining the amount of the benefit;
(b) the entity determines the amounts to be paid before the financial statements are authorised for issue; or
(c) past practice gives clear evidence of the amount of the entity’s constructive obligation

計算式があるか、財務諸表の公表決定までに金額が確定しているか、あるいは過去の支払った実績から義務があると判断できる場合か、ということです。

長々書いてきましたが、結論としては賞与引当金についてはIFRSにおいても計上すること自体はそれほど日本基準と変わらなそうです。ただ未払費用と賞与引当金を区分する規定はIFRSにはなさそうです。

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