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IASB issues additions to IFRS 9 for financial liability accounting

The International Accounting Standards Board (IASB) has today issued requirements on the accounting for financial liabilities. These requirements will be added to IFRS 9 Financial Instruments and complete the classification and measurement phase of the IASB’s project to replace IAS 39 Financial Instruments: Recognition and Measurement. They follow the IASB’s November 2009 issue of IFRS 9, which prescribed the classification and measurement of financial assets.

IFRS9号(金融商品)については、いくつかに分かれて公開草案やら確定基準やらが出ていてややこしいのですが、概ね下記のスケジュールで動いております。

Timeline


2009年の第4四半期に「分類と測定」部分での確定基準が出ていますが、金融負債の部分については別に今年の第2四半期に公開草案が出ていまして、その確定基準がこの29日に出たわけです。
今回の基準では巷間言われる「負債の時価評価におけるパラドックス」について扱っています。

負債のパラドックスについては、こちらlあたりが簡潔に説明しています。
企業に信用リスクがある場合、銀行が貸し付ける際の利子は当然高くなります。
年利1%の1年後支払いの100の負債の価値は100/1.01=99
年利10%の1年後支払いの100の負債の価値は100/1.1=91
ってなわけで、なぜか信用力が下がると負債の価値が下がる→財政状態が改善する、という現象をパラドックスと呼んでいます。

通常の負債の場合は、利息法で計算するのが原則ですので、このような現象は特に気にしなくてもいいのですが、IFRSで認めているFair Value Optionを適用している場合が問題です。一定の条件下認められるこの会計処理は、金融商品を全て時価評価してしまい、差額を損益に認識してしまおうというもの。このオプションを適用している場合、信用力の低下によって、負債が減少し、利益が出てしまうという状態となってしまいます。

このパラドックスの扱いについては、かなり前から議論があります。金融商品の時価評価についてIASBは10年以上前から議論をしているわけですが、常にこのパラドックスが反論の中心となっていました。2009年に出た確定基準においても、負債の評価の部分については棚上げされていました。

今回出た確定基準では、信用リスクにともなって変動した部分については、その他の包括損益(OCI)に含めるものとしています。上記の例を考えると、信用リスクが下落して負債が8減少した場合、その減少を直接その他の包括損益として計上することになります。公開草案では一旦損益に計上した後に、その他の包括損益に振り返る処理を提案していたのですが、確定基準では直接その他の包括損益に計上することになります。

そして、信用力によってその他包括損益が変動した部分については、リサイクルしないことになりました。つまりその時価評価した部分については永久に損益に出てこないということですね。満期償還した場合はもちろん、途中で負債を信用リスク含みの時価で引き受けてもらった場合においても損益は発生しないことになります。

ぱっと基準を眺めてみた感じでは、今回の基準で具体的にどの条文が加わったかわからないような状態になっていますので、ガイダンス等がどのように追加されているか私にはすぐには分かりませんでした。読み込みにはしばらく時間がかかりそうですな・・・

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