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国際会計基準(IFRS)の早期適用について(日本板硝子株式会社)

既に周知の記事ですが、これを取り上げなわけにはいかないでしょうというわけで。

国際会計基準(IFRS)の早期適用について

当社は、連結財務諸表の作成にあたり、2011年4月1日より国際会計基準(IFRS)を早期適用することを決定いたしましたので、お知らせいたします。これにより、連結財務諸表に、2012年3月期(FY2012)以降、同基準を適用いたします。
国際会計基準(IFRS)の適用は、当社グループの国際的な事業展開と株主構成に、適したものであります。
本決定は、日本に本社を置く、真に国際化した企業となろうという当社グループの意思の表れであります。国際的な事業展開と株主構成に適した国際会計基準(IFRS)の適用は、取締役会メンバーの国際化、委員会設置会社への移行、といったこれまでの施策の流れをくむものであります。
実務レベルでは、2006年のピルキントン社買収により、グループの約2/3は既に国際会計基準を使用しているため、グループ全体が国際会計基準に移行することで、同基準から日本基準への組替えの必要がなくなります。グループ全体が同一の会計上の言語を用いることは、内部の意思決定プロセスに非常に有益であります。
本決定の定量的な影響については、別途、適用の開始前にご説明する予定です。

短いので全文引用しました。前年度末から適用している日本電波工業についでIFRSの適用を正式に表明したのは日本板硝子。日本では2社目になります。

プレスリリースにもあるとおり、2006年にピルキントン社を買収した後に経営者も連れてきた会社です。その後経営者は家庭の事情という名目*1でお帰りになられましたが、2010年にはデュポン出身の社長を招聘*2。資本関係とかかわらず、外国人経営者をトップに据え、従来の経営とは一線を画す決意が垣間見えます。


*1 辞任後に「日本の人事制度や商慣習がこれほど国際展開にそぐわないとは思っても見なかった」と言っている(『日本企業を強くするM&A戦略』菊地正俊(PHP新書)p32)そうなので、額面通りには受け取れないとの説が多いですね。

*2なぜかwiki(11/9修正)wikipediaでは社長が変わっておらず、タレント千秋のお父様(藤本勝司氏)が社長のままです。誰か編集してあげましょう(他人任せ)


そんな中ですし、またプレスリリースによれば、既に2/3がIFRS適用済みということなので、今回の方針は必然のものであったのかと思います。とはいえ、既に2/3がIFRSを適用し、それを日本基準に組み替えているといっても、日本の会計基準で強制されている組み替えはわずか6項目です。残り1/3のうちの日本の割合がどれだけかわかりませんが、それをIFRSに変換する方が限定がないので遥かに大変かと思います。現時点でどこまで準備が出来ているのか外野からはわかりませんが、残り半年の作業はかなりタイトなものと推測いたします。経理の皆さんのご苦労はいかばかりかと。

経営体制が上記のようなものであるため、必ずしも他の会社にそのまま適用できるわけではないかと思いますが、ぜひ先駆者として事例を積み重ねてほしいものです。

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