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引当金各論-返品調整引当金

企業会計原則注解18に記載されている三つめの引当金は返品調整引当金です。

これについても、買戻特約があるのであれば、販売時点で何らかの義務を負っていることは間違いないので負債の定義には該当するかと思います。ただし、販売の時点でどれだけの返品があるか合理的に見積もることができるか?ということがポイントになってくるかと思います。

現在の日本基準では、注解18があるだけで、明文の基準はないと思われますが、返品の義務がある場合は、返品調整引当金を計上して、引当金繰入額として費用処理するのが通例のようです。
なお、法人税法施行令では第101条に出版業、取次業、医薬品、レコード製造業などに返品調整引当金の損金算入を認めています。見積方法としては 期末売掛金×返品率×売買利益率 または  期末以前2ヶ月の販売高×返品率×売買利益率 となっています。これらの業界のことについては詳しくないですが、おそらくこれに基づいた見積がされているものと思われます。

これがIFRSになると、収益認識の問題となってきます。そもそも顧客に返品権があるということは、商品に対するリスクの全てが顧客に移っているとは言えない状況にあります。返品率が合理的に見積もることができないのであれば、重要なリスクは顧客に移転していないと判断され、収益の認識自体が否定されるかと思います。この場合先に受け取った金額は前受金として処理されることになるでしょう。少なくとも税法基準に則っていれば、合理的な見積り、とは単純にはいかないかと思いますので返品に伴うリスクが如何ほどになるかは評価する必要があるかと思います。

合理的な見積が可能であり、重要なリスクが顧客に移転している、ということであれば収益認識は可能となります。ただし、これもリスクが移転している範囲内で、ということになりますので、返品が見込まれる部分については収益を認識することができず、繰延処理となります。売上100のうち3%の返品を見込むのであれば、売上は97しか計上できないことになります。

現在公表されている収益認識に関するIFRSの公開草案でも上記の会計処理は踏襲されていると考えられます。

B9 返品期間中に返品される製品を受け入れるために待機するという企業の約束は、返金を
行う義務に追加された別個の履行義務として会計処理してはならない。その代わりに、
企業は次の両方を認識しなければならない。
(a) 返品が予想されていない移転した財についての収益
(b) 返金の負債(第37 項に従って)


つまり、返品権のある商品に対する入金については、収益として計上する部分と、負債として計上する部分に区分することになります。そして、

B12 企業は、返金負債の決済時に顧客から製品を回収する権利について資産(及びこれに対
応する売上原価の調整)を認識しなければならない。当該資産の当初測定は、棚卸資産
の従来の帳簿価額から当該製品の回収のための予想コストを控除した額を参照して行わ
なければならない。その後は、企業は、当該資産の測定を返金負債の変動に対応させる
ように見直さなければならない。

対応する売上原価についても戻し入れし、「製品を回収する権利」として棚卸資産のようなものを計上する必要がある、ということです。

若干書き足りないところもありますが、後ほど補足するかもしれないということで、本日はこれまで。


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今日は休載

パスワードの変更等でミスってしまい、朝からネット環境の修復をしていたら記事を取りまとめる時間がなくなってしまいましたので今日は休載いたします。

なお、昨晩は下記の方々との会合。ありがとうございました。
(BlogまたはTwilogを公開されている方のみ)

http://kazemachi-roman.cocolog-nifty.com/blog/
http://twilog.org/L_GD
http://twilog.org/tkuTokyo
http://d.hatena.ne.jp/ny47th/
http://dtk2.blog24.fc2.com/
http://mathdays.blog67.fc2.com/

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引当金各論-売上割戻し引当金

本日は売上割戻し引当金。企業会計原則注解18の二番目に記されており、論点整理でもそのとおりの順番で記載されています。

これは、販売先のインセンティブのために、一定の基準を達成した際に、売上の幾許かを販売先に支払う、いや返すという表現がいいのかもしれませんが、どちらにしろ販売が終了した時点で、契約上支払うことが確定している性質のものであると考えられますので、債務性を持つことは間違いないでしょう。

これも日本基準では明確な処理基準がないかと思います。したがって国内では様々な実務が行われているようです。販売促進費として販売費及び一般管理費を相手勘定として売上割戻引当金を計上するケースが一般的なようですが、売上の戻入とする方法、あるいは販売時点では費用処理せずに支払いベースで費用計上している実務もあるようです。

これがIFRSになりますと、IAS18のpara.10で

It is measured at the fair value of the consideration received or receivable taking into account
the amount of any trade discounts and volume rebates allowed by the entity.

収益の金額はリベート等を控除して計算することが規定されていますので、売上の減額として処理されることになります。販売費及び一般管理費として処理している場合には会計処理の変更が出そうです。

これが、現在公表されている収益認識に関するIFRSの公開草案ではどうなるかといいますと、
(なぜか原文はコピーできなかったので、翻訳版です)

48. 企業が、顧客(又は、顧客から企業の財若しくはサービスを購入するその他の当事者)に対し、現金、掛け、又は顧客が企業に対して負っている金額に充てることができるその他の項目の形で、対価の金額を支払ったか又は支払うことが見込まれる場合には、企業は、その金額が以下のいずれであるのかを決定しなければならない。

(a) 取引価格の減額、したがって収益の減額(すなわち、顧客は企業の財又はサービスについて値引きを受けている)
(b) 顧客が企業に提供する区別できる財又はサービス(第 23 項で説明)に対する支払。この場合、企業は、当該財又はサービスの購入を、仕入先からの他の購入を会計処理するのと同じ方法で会計処理しなければならない。
(c) (a)と(b)の組合せ。この場合、顧客に支払われる対価が顧客から受け取る財又はサービスの公正価値を超過する金額について、企業は取引価格を減額しなければならない。顧客から受け取る財又はサービスの公正価値を合理的に見積れない場合には、顧客に支払われる対価の全額を、取引価格の減額としなければならない。

つまり顧客が別個の販売またはサービスの提供をするのでない限り、それは取引価格の減額とするということなので、書き振りは異なるものの、現状のIAS18と同様に、売上の減額で処理することになりそうです。

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引当金各論-製品保証引当金

超久々です。

某所でのIFRSの勉強会で発表の順番が回ってきました。お題は引当金いうことで、
ちょうど1年くらい前に出てこのブログでも記事にした本論点整理をネタに最新の状況と各論について報告しようというもの。この場を使って各論ネタの整理などをしたいと考えています。

今回は製品保証引当金。

現行IAS37は引当金の計上要件として、現在の義務であり、発生の可能性が高く、金額が合理的に見積もることができることを挙げています。現在の日本基準に明記されていないのは現在の義務であること。まずこの論点の確認からすると、製品出荷時点で契約上一定の製品保証が義務付けられているのであれば、それは債務性があると言えるでしょう。

日本基準では、製品保証引当金に関する明文規定がない(はず)です。ただ企業会計原則注解18の事例に挙がっており(今後取り上げる引当金はここで例示されているものがベースですが)、また平成10年頃まで法人税法で認められた引当金であったこともあり、代表的な引当金として取り扱われています。明文規定がないこともあり、実際には様々な実務が行われているものと推定できます。

一方現行のIFRSをベースに考えますと、本件はまず収益認識の問題として捉えられます。そもそもこの製品保証サービスが、製品販売に付随して分割できないものなのか、あるいは分割してサービスが可能なものなのかを判断します。分割してサービスが可能なのであれば、それは製品の対価の一部に製品保証の対価を含んでいるということであり、公正価値をベースに対価を分割し、製品保証として分割した対価は、製品保証期間にわたって売上として計上する処理が必要となります。製品販売に付随して分割できないものなのであれば、製品販売後に保証義務について引当金を計上することになるでしょう。

また、収益認識については現行基準を改定すべく、IFRSの公開草案が公表されています。これによれば、製品保証義務をさらに「潜在的な欠陥に対する保証」部分と「顧客に移転したあとの不良に対する保証」部分に分割し、従来引当金と考えられていた部分についても収益の繰延べとして処理する提案がなされています。おそらくこの公開草案が決定すると、製品保証義務に対して引当金を計上する、という実務は消滅し、すべて売上と売上原価という形で表現されることになるかと思います。

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