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2010年のIFRSを振り返って(前)

自らの復習を兼ねて、2010年のIFRSの重要なプレスリリースを追ってみました。まあ何を重要と考えるかはポジションによって大きく異なりましし、また重要なのに誤って見落としてしまっているものもあるかもしれません。いろいろご指摘をいただければ幸いです。

IASB re-exposes proposals on measuring liabilities for asset decommissioning, legal disputes and similar items
05 January 2010

IAS37の引当金に関する基準の公開草案の更なる改訂案です。これ自体はマイナーチェンジなのですが、そもそも2005年に公表された草案がここまで引っ張られており、なおかつまだマジョリティの賛成を得られていない状態で、この公開草案については抜本的に見直される予定で、2011年の6月には間に合わない状況となっています。IASBの公式計画によると2011年の後半までに再公開草案が公表され、2012年完成を目指しているようです。


Trustees announce further governance enhancements
15 February 2010

Constitutionの変更ということで、IFRSの目的についてadoptionということが明確に位置づけられたものです。
もっともこれよりも従来IASC Foundationと呼ばれていた組織がIFRS Foundationと名を変える一方、IFRS Board と名を変える予定だったIASBはそのままになるなど、関係者の微妙な意識の揺れ動きを感じさせる改革でもありました。

IASB proposes improvements to defined benefit pensions accounting
29 April 2010

いわゆる退職給付にかかる会計基準の改訂案です。純年金債務のオンバランスを強制する一方で、損益として計上する項目とその他の包括損益として計上する項目を明確に分けることとしています
2011年の前半には最終基準という目標は崩していせん。

Monitoring Board approves appointment of Vice-Chairs of the Trustees
17 May 2010

Constitutionで新設された副議長のポストに日本の藤沼亜紀氏を含む2名が選出されました。
IFRS陣営に取り込むための人質との陰口も聞かれましたが、どういう事になるか。後述するように現時点では議長職は空席です。


Request for comment: FASB Financial Instruments Exposure Draft
27 May 2010

FASBが金融商品にかかる会計基準の草案を公表しました。IFRS9号とは異なる基準を世に問うことで
独自路線を明確化。今度IFRS側がどう対応していくのかが今年の焦点となるでしょう。


IASB proposes improvements to the presentation of items of Other Comprehensive Income
27 May 2010

包括利益計算書において、いわゆる1計算書方式に統一するという基準案が公表されました。しかしながら、
これも基準確定の最終議決には至っておりません。2計算書方式への指示が予想外に多かったということなのでしょう。
最終議決は2011年1Q(3月)までに行われる予定となっております。
ちなみに日本では2011年3月期に初の包括利益計算書を作成する会社が多いと思われます。日本では1計算書方式、2計算書方式双方認められています。日本では2計算書方式の支持が多い中、IFRS早期適用を謳っている企業群がどのような開示をするかが注目です。

IASB and FASB issue statement on their convergence work
02 June 2010

MOUの当初目標である2011年6月、Tweedie議長の任期である2011年6月での完成をついに諦め、
一部を2011年の後半に持ち越すことを決意したStatementであります。スケジュールはどんどん迷走していくことになります。

Tommaso Padoa-Schioppa to return as Chairman of the Trustees following the July Trustees' meeting
18 June 2010

一旦2006年の1月に就任したものの、国元の大臣になるために5月で辞任したPadoa-Schioppa氏(読めない)。
今回満を持しての就任と思いきや、運命というものは非情なものです。

IASB and FASB propose a new joint standard for revenue recognition
24 June 2010

包括的な収益認識基準案がついに完成しました。1年後には最終基準となる予定ですが、
果たしてどうなることやら


IASB proposes improvements to insurance accounting
30 July 2010

保険業の会計についても公開草案が出されました。これも1年後完成予定。
これは専門外なので多くは語れません…

(つづく)

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