冬休みに読みたい第三者委員会調査報告書
@tnihei先生はじめ何人かの方々が挙げていたものをメモとして…
年も押し迫ったこの時期にホント久しぶりの更新であります。
昨年ほど出席はできなかったものの、今年も怪しい研究会には何度か参加させて頂き、学習させて頂きました。その中で取り上げられることが多かった第三者委員会による調査報告書。今年もいろいろなことがありました。印象に残ったものを10点挙げる、という企画です。
なお、順不同であります。また事の性質上リンク先がいつまで持つかわかりませんのでご了承の程を。
私はまだ未読でありますが、不正支出、内紛、インサイダーとなかなか話題が途切れなかった対象会社。
7733オリンパス(株)
要約版
その1
その2
その3
別紙
すでに語り尽くされていますので解説は省略しますが、5分冊という前代未聞の数量とともに、「経営中心部が腐っており、その周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成であった」と突然感情を吐き捨ててしまうところが、いろいろな苦労を伺わせます。
旧テラネッツです。経営陣主導で循環取引を行い上場審査対応やら損失補填対応を行ったとのこと。監理銘柄(審査中)
常勤監査役が主導でいろいろやっていた案件。まさか監査役がと思っていたら後に7733が出てきてもう監査役制度への信頼が激しく減退。ただこうとも
「反面、渡辺監査役は、本件不正行為等に関する裏帳簿ともいうべき詳細なメモを作成していたので、当調査委員会としても不正行為の解明に渡辺メモの果たした役割には一定の評価を与えるとしてもその責任は軽減されるものではない。」
これも解説不要。ただ、これも不正会計の範疇に入れられる場合が多いのですが、単なる横領であり会計の問題とされるのは甚だ不本意。ただむしろその調査の過程で発生した御曹司貸付金以外の問題のほうが会計的には興味深く。12/29付の改善報告書では下記のようにどう見ても嫌味としか思えない文章が放たれています(会社サイトでは未upの模様)
「当社は、一般に公正妥当と認められた会計基準に則って適正な会計処理を行うため、会計基準等で明確になっていない会計処理や会計上の見積り等の判断を伴う事象について、長年にわたって、監査法人と積極的に相談・報告し、監査法人の理解を得て会計処理を行ってまいりました。この結果、これらの相談や報告が、監査法人から適正意見を得るためのものとなり、監査法人の見解に依存し、当社で一般に公正妥当と認められた会計基準に則っているかどうかの判断を怠るようになっていたと考えております。」
これも会計ネタではないので多くは語りませんが、下記が異色ですなあ
「第三者委員会は、企業不祥事により信頼を失墜した組織の委託により、第三者の有識者等による中立的、客観的な立場からの調査を行うことを目的として設置されるものであり、その調査結果に対して、委託者である会社側が反論を公表するなどということは、調査結果に明白な瑕疵があるという場合でない限り、通常はあり得ない。ところが、九州電力は、当委員会の調査結果に関して「当社の見解」の公表を行うなどして反論を行った。」
「DPG は SP との株式交換契約の検討に際し、デュー・デリジェンスを実施していない。未実施の理由としては(i)株式交換を平成 21 年 12 月末までに完了するためには残された時間が限られていたこと(ii)チャイナクイック事業の話を持ち込んだのが DPG の代表取締役である松田氏と親しい間柄であった CVC の代表取締役である C 氏であったことが挙げられる。」
6660株式会社インネクスト
売上前倒しや循環取引の手口についてかなり詳細に報告しているのにもかかわらず、公表前に会社があぼーんとなってしまい、なんとも間の悪いタイミングでの公表となってしまった案件。
「なお,本調査報告は 2011 年 9 月 8 日の時点で完成に至ったが,対象会社が 2011 年 9月 9 日付で破産手続開始申立を行ったことにより対象会社に対する提出に遅れが生じたものである。」
法律事務所が調査したら子会社が勝手に売り飛ばされていましたという顛末。でも支配力がなくなったことには変わりないから連結財務諸表に影響はありませんということ。
5856(株)東理ホールディングス
これについてはいろいろありますが、むしろ無罪判決が衝撃
「被告の行為に任務違背があり、東理HDに財産上の損害を加えたと認定するには合理的な疑いを入れる余地がある」
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