日興の不正会計課徴金5億円命令(1/6 日経)


金融庁は5日、日興コーディアルグループに対し、2005年3月期の決算書類にウソを記載したなどとして過去最大となる五億円の課徴金を国に納めるよう命令を出した。すでに証券取引等監視委員会が処分勧告済みで、日興も近く支払いに応じる構え。今後は不正な開示にお墨付きを与えた旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)の責任を当局がどう問うかに焦点が移る。

日興問題についてはすでに他でいろいろ書かれておりますので、今更書き加えることなどありません。てなわけで本筋と全然関係ないツッコミを。

この日興問題が発覚した当初からなのですが「ウソの記載」、という表現をいつも日経さんはされます。おそらく同じ記者さんが書かれているものと想像しますが、この「ウソ」という表現って日本語としてどうなのかなと。

専門的(ってほどでもないですが)に言うと、通常は「虚偽」という言葉を使いますね。

証券取引法
第十条  内閣総理大臣は、有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、いつでも、届出者に対し、訂正届出書の提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項又は第二項の規定による届出の効力の停止を命ずることができる。この場合においては、行政手続法第十三条第一項 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

この「虚偽」という言葉が一般的でないから「ウソ」という言葉を使ったのでしょうかね。ただ、ここで言う虚偽は「意図的であろうとなかろうと、結果として誤った表示となっている」ということです。「嘘」というと、どうしても意図的であったというニュアンスが全面的にでくるような気がします

http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%B1%B3&kind=jn&mode=0&base=1&row=0

うそ 1 【▼嘘】

(1)事実を曲げてこしらえたこと。本当でないこと。偽り。
「―をつく」
(2)誤り。間違い。
「―字」
(3)望ましくないこと。すべきでないこと。
「ここであきらめるのは―だ」

確かに(2)は意図的だけの意味合いではないので、そのように取ることも可能なのかもしれませんが、どうも「悪意あっての」と読めてしまうのは考えすぎでしょうかね。

そして、「嘘」ではなく「ウソ」なのも気になります。外来語でないにもかかわらずここでカタカナが出てくるのはどういった意図なのでしょうかね。同じくgoo辞書によるとこういう例があるようですが、若者ではないのでよく分かりません。

http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%A5%A6%A5%BD&kind=jn&mode=0&base=1&row=0

「嘘」だとなんかどぎついし、「うそ」だとなんか折れた煙草の吸殻で分かってしまうような感じがあります。だから片仮名の「ウソ」にした、ってとこなのでしょうか。なんか気になるんですよ。

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12月の新聞記事より(3)

12月21日 米、内部統制ルールを緩和 日本企業30社にも恩恵 ベンチャー除外は見送り


12月21日 日興 不正会計の波紋 下 監視委と埋まらぬ溝
「課徴金さえ支払えば事実関係の食い違いについて白黒つける必要がなくなると考えているのでは」

12月21日 USEN黒字18億円
上場会社であるインテリジェンスが動機の業績を開示していないことから、事業別収益の詳細な内訳は明らかにしていないとか。そんなの理由になるんだっけ?

12月22日 旭硝子 純利益32%減 特損750億円を計上
設備減損で180億円。減損会計2年目での巨額減損は注目

12月22日 ACCESS 課題残した業績修正
ソフト利用権の収益計上。米国基準ではサポート機関に対応させて売上計上する

12月22日 ミサワ、経常益3%増
売上不正計上の影響は1億円のマイナス程度

12月22日 堀江被告求刑 「首謀者」の責任重視
検察側は「破綻を先送りするだけの従来型の事件よりも悪質」、「事業を協力に統括していた」堀江被告の責任は、他の被告よりも格段に重い

12月23日 不正関与の監査法人 刑事罰は「検討課題」 課徴金を先行導入
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20061222.pdf金融審議会報告。なによりも「不正通報義務」というのは会計士の概念を根本的から変えてしまうような気がします。

12月23日 リース設備資産計上義務 2009年3月期から 会計基準委が新ルール案


12月23日 リース資産の計上義務付け 空運自社保有移行も
ANAは自社保有に切り替える方針

12月23日 NEC、9月中間決算を訂正
「日本基準の適用時に一部誤りが起きた」

12月23日 JAFCOもファンド連結 VC5社 全社、新ルールで開示 
伊藤社長は「監査法人とVCの主張とどちらに妥当性があるのか、決算内容に関する意見申立て機関を作るべきだ」

12月23日 日興社長会長辞任へ 「会計に疑義」役員ら指摘
非公式会談での指摘の模様 会計処理は「監査法人の見解に従っただけ」

12月24日 日興の決算訂正監査 みすず、対応苦慮
みすずが日興の訂正報告書に"お墨付き"を与えることは、SPCの非連結を認めた当時の監査を自ら否定することになる

12月26日 アニメ制作各社 DVD不振で利益急降下 
ウィーブで映像権の減損。マーベラスエンターテイメントで棚卸資産の償却期間を短縮

12月26日 日興甘い認識で後手に 不正会計組織関与認める 許されぬグレーな会計
「組織として利益の不正な計上があったと見られても仕方がない」見解の変更に明確な説明はない。ただ純粋ホワイト会計というものがあるのか・・・

12月26日 グッドウィル 改善報告書を提出
認識不足が一連の開示不備の原因とか。ファンドの主導権を握っているのはわれわれではなかったため、ファンドに出資した時点でクリスタルを連結できないと考えた

12月26日 日興 桑島社長を発表 不正会計で調査委設置
http://www.nikko.jp/GRP/news/2006/pdf/061228_02.pdf 決定した委員を見たけど、会計の専門家はいない

12月26日 日興 課徴金納付へ 「答弁書」で異議となえず


12月27日 夢真HDに改善報告書
11/20決算短信の11/30訂正の経緯について

12月27日 橋本総業が訂正報告書
営業部門の元社員が売上高を過大計上。

12月27日 企業の継続性に疑義 オーベン(旧アイ・シー・エフ)
営業キャッシュフローが71億の赤字。これまた著名?企業

12月27日 監査不振 決算訂正の連鎖 上
「来期から義務化の新しい会計ルールを前倒し適用するよう求められた」一般論としてそれはやりすぎでは?

12月28日 会社の継続性に疑義(スカイマーク)
何をいまさら、って感じなのですが。

12月28日 デジタルデザイン経常益3.4倍
「純額方式」による売上減、IBMに対する債権に対し特別損失を計上、現在協議中

12月28日 会計基準委 リース取引の基準案を発表


12月28日 GCA 経常益16億8800万円 
「ファンド連結には非常に違和感があるが、会計制度の流れに従った」

12月28日 日興 訂正報告書 提出ずれ込み 監査法人の変更で
みすず→あらたへ 日興「みすず側で再監査の人員がそろわなかったり、共同監査を求められた」 みすず「決算訂正には合理的な説明がなければ監査ができないが、向こうが協議の土俵に上がってこなかった」

12月28日 監査不振 決算訂正の連鎖 下
PCAOBは今月中旬、みすず、あずさ両監査法人の検査に着手した「日本の当局より厳しい印象だ」

12月28日 投資組合に新株発行 モック10億円調達へ
IS投資事業有限責任組合へ。比率26.2% 参考文献 http://hetareguma.pecori.jp/xoops/modules/wordpress/index.php?p=479

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12月の新聞記事より(2)

12月12日 監査法人や事務所の登録制度導入を決議 会計士協


12月12日 グッドウィルに改善報告書要求 東証
クリスタルの子会社化の経緯について

12月12日 橋本総業 過大売上2億円 有価証券報告書を訂正へ
営業部門の元社員が売上高を過大計上。請求書作成前に取消

12月13日 リース各社、最高益相次ぐ 新リース会計にらみ再編急ぐ


12月14日 株主資本配当率採用広がる
それって、限りなく安定配当に近いのでは?

12月14日 試練の新興株市場②
ヒューネット 「ライセンス料は全体の一割を供与時に受け取る。残りは売上債権として資産計上し、使用期限である数年以内に供与先が製品を販売した場合に、その売り上げ実績に応じて回収する仕組み」??

12月14日 米内部統制ルール 検査基準を緩和
SECの方針が明らかに

12月15日 内部統制「欠陥」6社が開示
米国上場日本企業の話。強制開示前?

12月15日 総合臨床の今期最終赤字3000万円へ 売上高への計上方法変更で
前期までは進行基準のようなもの?今期は少額の案件は終了時に一括計上

12月15日 増資の一部払い込まれず タスコ


12月15日 新株予約権の発行中止を発表 オープンループ
クォンツが仮処分申請

12月15日 会計監査人をトーマツが辞任 セラーテム
一時会計監査人として隆盛監査法人。「新たな会計監査体制を検討すべくトーマツと協議を重ねたが合意できなかった」

12月15日 試練の新興株市場③
ロータスの大量保有報告書によるとサンライズテクノロジーの保有率は11%。サンライズTのペイントH事業譲受のめどは立たず

12月16日 日興に課徴金 特別目的会社連結外し


12月16日 企業の粉飾決算など 会計士に不正通報義務 金融審提言へ
金融審報告書原案に盛り込み予定

12月16日 日興に最大の課徴金 2005年3月期決算 「不適切な開示」
監視委の調査→勧告へ

12月16日 安楽亭9月中間最終損益を訂正
10月に実施した固定資産売却で出た損失を、上期に減損損失として計上すべきだと監査法人から指摘を受けたため。

12月17日 ユニオン 過年度の決算訂正
連結子会社だったTTGの決算訂正を受け

12月18日 契約交渉の外部委託増える SOX法対策で透明化
外部委託で業務プロセスが透明化するとか。逆にブラックボックスになるような気がしないでもないが

12月18日 ミサワホーム 「不適切な会計処理」 九州子会社 5年分の決算訂正へ
11/10に事実公表

12月18日 日興疑惑で適正意見 みすず調査チーム
みすずは日興の不適切な利益計上疑惑について「会計上も監査上も問題ない」としている

12月18日 「合同会社」選択 監査法人可能に 金融審が最終調整


12月18日 日興 決算自主訂正へ 「利益水増し」指摘で


12月18日 ミサワ九州 不正会計 6年で726棟
国交省は経審の虚偽申請での処分へ。

12月19日 アジア投資もファンド連結 中間決算短信を訂正
ジャフコ以外はフル連結決算を発表することに

12月19日 日興、課徴金5億円 2005年3月期純利益を118億円減額 監視委勧告
EB債の発効日改ざんにより40億利益水増し。それを直すついでに連結しようか、ということらしい

12月19日 試練の新興株市場 新配当ルールで波紋
USENが資本準備金→資本剰余金を配当原資へ おかげでこんな余波も http://www.usen.com/admin/corp/news/pdf/2006/061226_1.pdf

12月19日 内部統制プレミアム
TDKのSOX法コストは人件費を別に10億円。「内部統制ルールに伴う文書化は、企業にたまった暗黙知を株式市場に理解されやすい形式知に翻訳する作業といえる」 そんなきれいなものじゃないですよ・・・・

12月19日 迫る内部統制
「日立は100億円」 まあここは商売上大きく言う必要があるでしょうから・・・

12月19日 不正関与の監査法人 課徴金を提言へ
刑事罰との両立は金融庁が難色。二重処罰を禁じる憲法に抵触する恐れがあるため

12月19日 日興・監視委なお食い違い
日興側「SPCを非連結とするという会計処理そのものが間違っていたとは今でも思っていない」公認会計士の磯崎哲也氏「重要性や保守主義の原則から考え、連結から外すべきではなかったのではないか」

12月19日 カネボウ 12億円の債務超過に 9月中間 貸倒引当金300億円超
親会社に対する貸付金が回収リスク高いらしい。もうわけが分からない。トーマツは意見差控

12月20日 カネボウ化粧品の決算期 花王3月期に変更へ


12月20日 内部統制ルール緩和 米、監査項目を半減 2007年度決算から
監査項目数が216から108へ。でも負担は数では量れない。

12月20日 特別目的会社 情報開示を強化 2008年3月期から義務化
年明けにも公開草案を公表し、06年度中に最終案

12月20日 特別目的会社 国際基準は「連結」
「投資育成目的」であっても原則、連結からはずすことができない仕組み

12月20日 日興 不正会計の波紋 上 
「書類改ざんが発覚しベンチャー投資以外の目的となった」という説明が「一度認めた決算を訂正する理由として妥当なのかどうか」みすず幹部は連日深夜まで議論を続けている。

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12月の新聞記事より(1)

とりあえず、年末の日本の近況に早く追いつくべしと、新聞を乱切りしたもののメモ。
まず上旬編。

12月1日 内部統制 米、過剰規制を見直し 来年末にも改革法緩和


12月2日 丸正が改善報告書提出
「得意先の支払い明細書から値引の存在を認識できなかった」

12月5日 米、日本の監査法人を検査 会計監視委 あずさ・みすず 来週にも
米国出張は主権侵害の可能性があることから、テレビ会議で。米国に上場している以上、米国監督機関に監督に服するのはある程度仕方がないはず

12月5日 会計厳格化 新興企業にも影響大
ジャパン・デジタル・コンテンツ 匿名組合の出資評価見直し フライトシステムコンサルティング のれんの一部償却 アルゼ レンタルへの営業形態変更による会計処理変更が認められず

12月5日 アパマンショップ 集計遅れる 貸借対照表など一部を先行発表
こういう手もありか

12月6日 東海パ・特殊紙の経営統合 プーリング法採用へ
かなり微妙な比率であるが、監査法人のOKはとったの?

12月6日 会計士が足りない 監査法人、採用競争が激化
こうしてまた米国公認会計士が雇用の調整弁として使われるのである

12月6日 TTGに課徴金1億円超 
どうでもいいが「ウソの開示書類」という日経の表現ってどうよ?

12月7日 日興 決算訂正巡り協議
証券取引等監視委員会調査の報道に対して

12月7日 監視委 TTG処分勧告
費用計上の先送りなど ジャスダック上場廃止

12月9日 監査法人に改善命令導入
金融審の論点整理案

12月9日 東海染工が業績訂正 不正経理発覚で
元営業課長が在庫報告書の改ざんなどで架空の売上高

12月9日 すみやに改善報告書要求
11/17リベート取引を巡り不正な会計処理があったとして決算訂正

12月9日 ファンド連結新ルール VCの決算 分かりづらく
「株主から集めた資金でいくら稼いだかという企業本来の収益を示さない」との見方が多い

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米、過剰規制を見直し・企業改革法緩和へ(12/1 日経)

米、過剰規制を見直し・企業改革法緩和へ

 米政府は財務諸表に対する企業経営者の宣誓義務などを定めた米企業改革法の適用基準を緩和する。上場企業が正確な決算書を作成するための社内体制の整備を求めた「内部統制ルール」を見直し、形式的な監査基準を緩めるほか、中小企業への適用を一部除外する。「監査料など上場企業のコストが重くなっている」との批判に対応し、負担軽減で新興国企業などの米株式市場への上場を呼び込む。2008年度から内部統制ルールを導入する日本の議論にも影響しそうだ。

 内部統制ルールは01年のエンロン破綻をきっかけに定めた米企業改革法の規則で04年から適用されている。監査法人を監督する上場企業会計監視委員会(PCAOB)幹部が日本経済新聞記者に内部統制ルールを簡素化する方針を明らかにした。監督当局である米証券取引委員会(SEC)が12 月中旬に委員会を開き、見直しのガイドラインを公表する。07年末に財務報告書を提出する企業から適用される見込みだ。

出張先の朝食でこんなニュースが飛び込んできました。
日経のインタビューとのことで、バイアスがかかっている可能性がありますが・・・

記事によると「緩和」の内容は以下の通り。

①全ての項目に関する年一回の監査義務を緩める
②規模の小さい企業への適用を一部除外する
③監査法人による経営者の内部統制ルールへの取り組み評価制度を廃止する
④内部統制ルールを監査する監査法人と財務諸表監査を担当する監査法人の協力を認める

②はある程度想定内ですが、
①が実施されれば、企業にとってはかなり負担軽減になるかと思います。税務調査が一年に一回来るのと二年に一回来るのではだいぶちがいますからね(笑)。
③は何を言っているのかよく分かりません。
④もよく分かりません。米国と言えど内部統制監査と財務諸表監査を異なる監査法人が担当しているというのはそんなにないのではないかと思うのですが(すみません、推測でしかありません)。あるいは、ある程度の内部統制コンサル業務を認めると言うことなのですかね。

取り急ぎ速報と感想まで。

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減価償却 全額損金、既存設備も(11/26 日経)

2007年度税制改正の柱となる新しい減価償却制度の政府案の大枠が二十五日、明らかになった。投資額の全額を損金に計上する仕組みを、機械設備だけではなく、建物や航空機などすべての償却資産に適用。新規投資分だけでなく、企業の既存設備も対象にする。

「投資額の全額を損金に計上する仕組み」については、毎日のように報道されていましたが、既存設備も含む、というところは予想外でした。

まず、老朽化した資産を多数抱えている企業は取得した価格の5%という金額で貸借対照表上に計上しているかと思います。減価償却制度が改訂になれば、それらの金額については税務上の損金となることになります。税法の改訂により決算方法が変わるというのは理論的にはおかしいのですが、税法が確定決算主義を捨てていない以上、税務メリットをとるには、今貸借対照表上に計上されているそれらの資産の帳簿価額が、一時的に償却費として吐き出されることになります。節税にはなるでしょうが、決算上も結構なインパクトとなることが予想されます。

また、既存の設備についても償却計算の変更を迫られます。既存のソフトはこのような事態に対応しているのでしょうか?

そして、そもそもこれらの変更を会計上どのようにして正当化するのか、ということが興味深いです。一昔前は税法に従っていればとりあえず監査人も認めてくれたのですが、税法とは袂を分けてしまったこのご時世、単なる「税法の変更」は会計方針の変更としてはなり難いものとなっています。その一方でそれを認めないと税務メリットが取れないわけであり会計側に非難が殺到するでしょう。会計側がどういった対応をとるのか、ちょっとした注目点であります。

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東日本ハウスに課徴金・監視委、虚偽記載で勧告

東日本ハウスに課徴金・監視委、虚偽記載で勧告

証券取引等監視委員会は22日、ジャスダック上場の住宅メーカー、東日本ハウスに対し、有価証券報告書に虚偽の記載があったとして200万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。課徴金制度が昨年導入されて以来、監視委はインサイダー取引で10件の納付命令を勧告してきたが、虚偽記載で課徴金の勧告を出すのは初めて。ジャスダック証券取引所も12月6日までに情報の適時開示を求める改善報告書を提出するよう命じた。

東日本ハウスといえば私の地元岩手では(いろいろな意味での)有名企業でありますが、こういうことで紙面を飾ってしまうことになるとは・・・

プレスリリースはこちらです。虚偽記載の内容については、「退職給付債務額の計算における錯誤のデータを使用したものであり、退職給付引当金の過少計上を行ったことにあります。」とのことです。他の決算短信の修正に係るプレスリリースを見てもこれ以上のことは書いていないようです。

「錯誤」という言葉をそのまま解釈する限り、おそらく意図的なものではないのでしょう。そう悪質なケースではないように思えます。また課徴金といっても2百万円のようですから、企業業績上さしたる影響はないでしょう。

ただ、こういった比較的悪質さが小さいケースにおいてもどんどん課徴金を課していくという監視委の姿勢を示したものとしては注目すべき判断かと思います。これは「虚偽の記載を行った」ことによる結果責任ですので、「内部統制が有効に機能している」かは関係なさそうですし、「会計士が合理的と判断した」からといって、100%の保証をしているわけではありませんので、監査判断は合理的でも課徴金は課せられるということもあるわけで、なかなか厳しい姿勢であるかと思います。

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東急ストア今期最終黒字54億円(11/23 日経)

東急ストアは22日、2007年2月期の連結最終損益が54億円の黒字(前期は25億円の赤字)になる見通しだと発表した。従来予想は36億円の黒字。固定資産の譲渡に伴う税効果の影響で法人税等調整額がマイナスとなる。06年8月中間期決算も後発事象の発生としてさかのぼって修正した。

修正後発事象の問題です。
本体のプレスリリースはこちら

(修正)修正後発事象の発生に伴う平成19年2月期中間決算短信(連結)及び平成19年2月期個別中間財務諸表の概要等の修正について


平成18年10月12日に発表いたしました当社「平成19年2月期中間決算短信(連結)」、「平成19年2月期個別中間財務諸表の概要」及びそれぞれの添付資料について、下記の理由に基づき修正いたします。
(中略)
当社は、本日付で別途発表いたしております「固定資産の譲渡に関するお知らせ」に記載のとおり、平成18年11月22日開催の取締役会において、福岡県筑紫野市所在の土地、建物を譲渡することを決議いたしました。
この決議に伴い、中間期末時の減損会計上の回収可能価額の観点から、売却時に発生が見込まれる損失相当額の減損処理及び一時差異に係る繰延税金資産の計上を修正後発事象として18年8月中間期の中間連結財務諸表並びに中間財務諸表に反映させることにいたしました。

素朴な疑問なんですが、これって修正後発事象にあたるのでしょうか?

ここで修正後発事象の定義をば

・・・決算日後の発生した事象であるが、その実質的な原因が決算日現在において既に存在しており、決算日現在の状況に関連する会計上の判断ないし見積りをするうえで、追加的ないしより客観的な証拠を提供するものとして考慮しなければならない事象である。したがって、重要な事象については、財務諸表の修正を行うことが必要となる。(監査委員会報告第76号)

つまり、決算日を過ぎてからわかったことでも、その事象が決算日現在でも発生している場合はその影響を織り込んで財務諸表を修正しなさい、と言っているわけです。教科書的には貸倒引当金がその例としてよく挙げられます。決算日後半月で取引先が倒産してしまった場合、実質的には決算日時点で取引先の財政状態は悪化していたのだろうから、それはさかのぼって貸倒引当金を計上して、財務諸表を修正してください、ということです。決算日後で監査報告書の発行前に何らかの事実が発生した場合このような問題が生じます。

では、話を戻してこのケース。確かに決算日後、中間監査報告書前に起きた売却損失であるようです。では、決算日時点においてはどうだったのでしょうか。

確かに、決算日後3ヶ月で時価が急落した等の事情がない限り、決算日末(8月末)でも時価は下落していたと考えるのが自然でしょう。したがって、正味売却価額ベースでは減損損失が発生したのでしょう。

しかしながら、減損損失を正味売却価額ベースで算出するのは、売却を視野においている場合が通常であり、それ以外の場合は固定資産を使用し続けることが前提で、使用価値、すなわち事業による将来キャッシュフローで測定するのが原則かと思います。8月末時点では当然その前提で減損会計を適用しているはずです。

そして、11月に売却の意思決定をしたのであれば、その時点で売却予定の資産として改めて評価すべきものであるかと思います。すなわち、このケースであれば、減損損失の発生はあくまで11月であり、8月にさかのぼって修正する必要があるのか?というのが私の疑問です。

もっとも8月末の時点で譲渡の意思が固まっており、資産評価も終わっていた、とか、そもそも使用価値で計算してもやはり損失は生じていた、というのならば別ですが、それであれば最初から8月末の決算に織り込んでいなければならないものであり、修正後発事象の発生というよりは、それは単なる会計基準の適用誤りではないかと考えます。

個人的には、不可抗力によるものであればともかく、事後の取引にかかる取締役会決定のたびに、既に公表した財務諸表をいちいち修正しなければならない、というあたりに激しく抵抗を覚えるのですが。

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企業会計審議会監査部会の公開草案の公表について

企業会計審議会監査部会の公開草案の公表について

企業会計審議会監査部会(部会長 山浦久司 明治大学教授)は、「四半期レビュー基準の設定について(公開草案)」を取りまとめ公表し、広く意見を求めることとしました。

忘れがちですが、こちらも出ました。
レビューという実務が定着するでしょうか。
詳細は読んでからということでこれも備忘UPです。

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企業会計審議会内部統制部会の公開草案の公表について

企業会計審議会内部統制部会の公開草案の公表について

企業会計審議会内部統制部会(部会長 八田進二 青山学院大学教授)では、昨年12月に公表した財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案を実務に適用するとした場合のより詳細な実務上の指針(実施基準)の作成を検討してきました。今般、当部会の下に置かれた作業部会(座長 橋本尚 青山学院大学教授)が作成した実施基準案を基に審議を行い、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(公開草案)」を取りまとめ公表し、広く意見を求めることといたしました。

ついに出ましたね。
ただ、内容は先ごろ公表された会議資料と大差ない模様です。
取り急ぎ備忘UPまで。

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