収益認識に関する論点の整理(2)

というわけで、「現在出口価格アプローチ」にかわるもうひとつのアプローチが「当初取引価格アプローチ」です。当初取引価格、早い話が契約価格ですね。履行義務の金額=契約価格とするものです。これであれば契約段階で損益が発生することはありませんし、契約段階で複雑な計算をする必要もありません。IFRSの提案はこちらのほうになっています。

なお契約が複数の履行義務で構成されている場合は、契約価格を配分する必要があります。これは別々に販売したときの価格を基礎として配分することが原則なのですが、それが困難であるときは販売価格を見積もることが提案されています。米国の会計基準などではそれを公正価値で配分しなければならず、その公正価値が証明できない場合はすべての義務を履行するまで収益計上を繰り延べる必要があります。それに比べると、見積価格で配分するというのは、全般的に収益計上が前倒しになる傾向になるといえるでしょう(米国が遅れすぎ、というのもあるのですが)

この履行義務、さまざまな変動要因がありますが、原則としてその義務を履行したとき以外その変動を反映しないことが提案されています。ただし、契約が不利とみなされた場合、すなわち損失を計上することが明らかになった場合は改めて履行義務について測定することが求められます。明らかになった時点で、損失を計上するというわけです。もっとも測定してみないと不利になっているかどうかは分かりませんので、再測定しなければならない範囲というのは意外と広いのかも知れません。

以上をまとめると、以下の設例のようになるかと思います。

01年3月 対価100で1年後と2年後に建物を引き渡す契約 それぞれの建物の価値の比は6:4 という場合

01/3  (借)未収入金 100
    (貸)履行義務 100

02/3  (借)履行義務  60
(貸)収益    60

03/3  (借)履行義務  40
(貸)収益    40

(勘定科目は適当です、あしからず)

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引当金に関する論点の整理(2)


前回の続きです。

【論点3】測定

まず「現時点決済概念」か「究極決済概念」かという整理をしています。

「現時点決済概念」は負債の金額を決めるのに、現在その負債を誰かに引き取ってもらうにはいくら払う必要があるか、ということを考えます。

「究極決済概念」は将来その負債の相手先にいくら払う必要があるのか、ということを考えます

通常は、負債は第三者に引き受けてもらうわけではなく、相手先に支払うことにより決済されます。したがって「究極決済概念」に基づいたほうが実態の取引に即しているような気がするのですが、「公正価値」の伝道師であるIFRSは公正価値=第三者が引き受けてくれる価格=「現時点決済概念」での測定に改訂案ではこだわっています。

「究極決済概念」をとった場合、負債の金額は一番実現の可能性がある金額、最頻値が適当な測定方法となります。企業がいくらで決済しようと考えているかの金額で測定することになります。

一方「現時点決済概念」をとった場合、期待キャッシュフローによる測定が整合的になります。すなわち、いくつもの負債を引き受ける業者がポートフォリオの評価として用いる金額ですので、実際に企業がいくらで決済しようとしているかにかかわらず、確率を用いた期待値で測定するというわけです。

先ほどIFRSの改訂案では「現時点決済概念」の方針であると書きましたが、これは認識のところであった「蓋然性」とも繋がっています。つまり引当金を計上する要件として、「蓋然性がない」=0、「蓋然性がある」=1、という考え方ではなく、負債が存在するのだからとりあえず計上する、ただしその金額に発生確率を反映させる、という考え方が「現時点決済概念」での引当金計上の考え方になります。

たとえば、100億の訴訟を受けている場合で、ほぼ勝てる、敗訴の確率5%という場合。従来であれば蓋然性がない、ということで負債を計上する必要がなかったものと思います。ところがIFRSの改訂案では100億×5%の5億円の負債を計上することになります。

この5億という金額、実際にこの金額で負債を決済することはありません(まして訴訟であれば第三者に債務を引き受けてもらうことは実際には少ないのでは?)。この金額で負債を計上することに意味はあるのでしょうか。確かにいくつかの企業の株式を持つ投資家にしてみれば、ポートフォリオの評価としてこの金額は意味があるのでしょう。しかし、実際に企業の中の人であるわれわれが成績表としてこの金額を財務諸表に計上するのはどうも抵抗があるんですよね・・・・

ちなみにこの論点整理ではこの「現時点決済概念」「期待値方式」に傾き過ぎることにつき否定的な観点のようです。

そのほか、割引率についての議論。IFRSでは長期の負債を割り引くのが常識となっていますが、日本基準では必ずしも明確ではありませんので、時間的価値が重要であると考えられるときは、割引を求める方向に持っていくようです。

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国際会計基準、前倒し 住商・日産、来期にも採用

国際会計基準、前倒し 住商・日産、来期にも採用

日本企業の間で、国際会計基準の前倒し採用を目指す動きが出てきた。住友商事、日産自動車が早ければ2011年3月期にも適用する方向で検討に入ったほか、日本たばこ産業(JT)は12年3月期に導入する。日本経団連は住商などを含む上場19社と共同で実務家で構成する準備会合を近く立ち上げ、日本基準にない「包括利益」の開示方法など実務面の課題を整理する。会計の国際化が一歩進む。

昨日のエントリでは、「大手自動車メーカー」とせっかくぼかしていたのに、名前が出ちゃいました。
まあ、これらの企業はそれぞれの事情があるわけで、

日産はルノーがらみで既にある程度のことはやっているはず。
住友商事はIFRICに鶯地さん出してるしなんかやらなきゃね
そして、JTについてはこちらね。

それぞれやりたい、あるいはやらなきゃならない事情があるわけで。
そういうのなしで先駆者になろうとするのは大変ですよ。誰に言ってんだ(謎)

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IFRS時代の生き残り方

昨日は、日経ビジネスを挙げながら、ほとんど中身のない記事でしたので、
今回はIFRS特集のトリに来ています「IFRS時代の生き残り方」に突っ込みを入れてみます。

冒頭では日本電波工業が今期実施を目指すと書いていますが、ある財界関係者いわく「大手自動車メーカーと電機メーカーの2社がやはり今期から早期適用する」と漏らしているそうです。

大手自動車メーカーといっても、トヨタとホンダは米国基準適用会社で早期にIFRSに移行するメリットはあまりなさそうです、ということは・・・・
電機メーカーもソニー、パナソニック、日立、東芝、三菱電機、といったところはやはり米国基準適用会社です、ということは・・・
かなり限られてきそうです。


:だが、実を言えば、はやる企業が目指すIFRSは「さらに変化しようとしている」

ASBJ西川委員長のお言葉ですが、IFRSが日本の進路を決める2012年には今と更に大きく変わっている可能性があることは事実です。先に挙げた体力のある、ある意味Reputationのために適用するような企業ならともかく、普通の企業で適用を焦るメリットが大きいとは私には思えないのです。

:ソニーは昨年末からIFRSの導入に向けてグローバルなプロジェクトを立ち上げた・・・グローバル企業は世界のグループ企業が同じ会計基準になる利点を生かす仕組みを作るのである

ソニーは先に述べたようにもともと米国基準適用会社ですから、グローバルな会計基準の統一をしようと思えばできる立場にありました。それをやらなかった事情はわかりませんが、単に困難だったからなのか、あるいは現地に会計を含めたマネジメントを任せることにメリットがあったからなのか、いずれかだと思います。少なくとも十数年前は、「欧米企業は現地にマネジメントを押し付ける、日本企業は現地の発想を取り入れる、それが日本的経営の強みだ」みたいな主張がまかり通っていましたから、あえて会計基準も押し付けないことにもそれなりのメリットがあったのではないかと思います。IFRSの問題というより、経営スタイルが時代と合わなくなってきているということなのかもしれません。植民地支配が大の苦手である日本人が今後どのように上手に現地にマネジメントを押し付けていくか、というのが会計問題に限らず大きな課題なのでしょう。

:そこではもともと社内にあった事業か、買収で引き寄せたものかを問わず、利益率や将来性で事業間の選別を行える企業ほどIFRS時代には強くなれる。・・・キャッシュフローをより重視した経営も重要になる。

要はのれんの償却方法の相違のことを言っているのですが、上記に書いてあるのは当たり前のことであって、IFRSだろうが日本基準だろうが変わるところはないと思います。


:監査法人が強くなる可能性もある

あ、これには異存ありません(笑)

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IFRS強制適用(日経ビジネス)

IFRS強制適用 売り上げ半減、利益急増の驚愕

一応紹介しておかないとね。
すみません、まだちゃんと読んでいません。

ただ、期待していたよりはちょっと薄いかな。
この前のダイヤモンドのほうがしっかりしてそう(あくまで印象)

「売り上げ半減」は売り上げの総裁表示
「利益急増」はのれんの償却停止のことですよね、きっと(大げさのような気が)。

それより「敗軍の将、兵を語る」緒方重威氏の方も面白そう。

というわけで、内容については(if any)後ほどということで。

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国際財務報告基準の解釈指針 第8回 「顧客からの資産の移転」(2)

前回の続き。

では、鶯地さんはこのマイナーな基準がなぜ重要だといっているのか。

もともとIFRICというのは既存の会計基準に関する解釈指針です。したがって、現在進行している収益認識プロジェクトの影響を受けるわけではなく、あくまで既存のIAS18号に関する解釈を示すものであるはずです。

しかしながら、取得価額が0の資産でであっても、何らかの履行義務を対価に取得したため、それは資産性がある。そしてその義務の履行にしたがって収益を認識していく、という考え方は現在のIAS18号からなかなか到達し得なかった結論だということです。したがって、現在の収益認識プロジェクトの考え方を先取りしたというところにこの基準の意義があるということのようです。

また、今回の履行すべき義務として、

・ネットワークへの接続
・サービスを受けるための継続的アクセスの提供

の2点に分けたことも注目に値するようです。それは、現在の概念フレームワークのプロジェクトにおける資産の定義では「企業の資産とは当該企業が権利ないしアクセスを有する現時点で存在している経済的資源である」という暫定合意がなされていることからきています。すなわち資産の定義に「アクセス」という語を使用していることから、この「アクセス」ということが今後資産の定義のみならず、収益認識における一時的なものと継続的なものを区分するひとつのモデルとなりうる、と述べています。

ちょっと後段は英語のニュアンスの問題もあり、私にはぴんと来ないところもありますが、前段については確かにそのような気がします。もっとも原則がまだ決まらないうちから、IFRICがどんどん先に進んでいくところにはやや恐ろしさを感じるところではありますが。

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国際財務報告基準の解釈指針 第8回 「顧客からの資産の移転」

いまさらですが 経営財務 7/20 より
IFRIC委員の鶯地さんのインタビュー記事です。

IFRIC(国際財務報告基準解釈指針委員会)18号 「顧客からの資産の移転」とは、企業がサービスを提供する際に、そのサービス提供に必要な資産を顧客から提供を受ける場合の企業側の会計処理を定めたものです。

といってもぴんとこないと思いますが(私もです)、

:今まで誰も住んでいなかった土地に、新たに住宅地を開発する場合、電力供給に必要な引込み線や変電施設などが新たに必要になります。その工事費を電力供給会社が負担するのではなく、顧客である住宅提供会社、ひいては住宅購入者が負担するというようなケースが当てはまります

とのことです。

こういった「引込み線や変電施設」の供給を受けた電力会社がその資産をどのように会計処理するかですが、現在の実務はばらばらなのだそうで、そこでIFRICが一定の解釈指針を示した、というわけです。

これらの資産は無償で提供を受けたとしても、公正価値で資産計上する場合が多いであろう、と鴬地さんはおっしゃっています。これはサービスを提供する義務を負いつつ資産を受領したわけで、そういう意味で対価を支払っているから、ということです。

これはすなわち、当該資産を計上する際には
(借)資産
(貸)サービス義務
となるわけで、そのサービス義務を履行した際に
(借)サービス義務
(貸)収益
となることを意味しています。

したがって、どのような

では、どのようなサービス義務を企業は負っているのか?というと
・ネットワークへの接続
・サービスを受けるための継続的アクセスの提供
この2つの要素に分けることができる、というのがIFRIC18号の考え方である、とのことです。

つまり、
・水道のパイプをつなげる義務
・水道を通して水を供給する義務
の2つの要素に分けることができる、ということです。

ただし、「水を供給する義務」については、通常はその資産を提供することにより供給する料金が安くなる等の事象があるはずであり、それがない場合は「水を供給する義務」はその他の規制に起因するものと判断されるとのことです。

すなわち、そのような資産を提供したからといって、料金の優遇等を行うということがなければ、資産の提供により「水を供給する義務」は発生しないことになります。

したがって、資産の提供によって発生する義務は「パイプをつなげる義務」のみであり、「パイプをつなげる」時点で義務が消滅したことになり、収益を認識することになります。

すなわち、一時に収益を認識するばあいが多くなる、ということになります。

なんとも、マニアックな業界のマニアックな処理であり、汎用性はないように思えますが、鴬地さんはおおきな影響力を持ちうる解釈指針であると考えているようです。

つづく(予定)


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「財務諸表の表示に関する論点の整理」(3)

週末、自身とPCともに体調を崩してしまい。更新を怠ってしまいました。

さて、論点の最後として、
「中長期的に検討を行うことが適当」としている、「損益の段階別表示」「損益項目の性質別開示」「貸借対照表における流動固定区分と表示科目」についてですが、

「損益の段階別表示」とは、日本基準でいう「営業利益」「経常利益」「税引前損益」「当期利益」といった区分につき見直しが必要か否かということです。日本では「特別利益」「特別損失」というものがあり、「税引前損益」からこの特別損益を引いた値が「経常利益」ということになっています。このいわゆる「ケイツネ」が日本独特のものであるため、見直そうという気運が出てきているのですが、一方でIFRSにおいて財務諸表の表示プロジェクトが動いていますので、それが決まったらまねしよう改めて検討しましょう、というのがこの項目です。実際IFRSやUSGAAPではぬるい特別損益の計上は許されません。なんたって、9.11テロにかかる損を特別損失とみなさなかったのが米国ですから、その特別性のハードルがいかに高いかはイメージできるかと思います。

「損益項目の性質別開示」。売上に対応する費用を「労務費」「原材料費」「人件費」等の区分で開示すべきかどうか検討をしているようです。これも現在IFRSで議論中ですが、営業、投資、財務の各カテゴリー別に費用を機能別(売上原価、販売費、一般管理費等)に分解した上で、さらにそれを性質別に分解して表示する、という提案がなされています。こうなったらかなり大変そうですが、これも様子を見て検討しましょう、ということになっています。

「貸借対照表における流動固定区分と表示科目」、何をもって流動資産と固定資産を分けるのか、という話ですね。一応IAS1号には原則が示されていますが、日本の財務諸表等規則のように科目ごとに流動固定が指定されてるものではありません。まあ、でもそれほどは違わないよね、後で考えましょ、ということのようです。

そんなわけで、包括利益の表示以外はどうなるかよくわからない、といった論点整理でした。

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青山学院 八田教授「IFRSで内部統制以上の混乱も」

ああ、もうこんな時間だ。

青山学院 八田教授「IFRSで内部統制以上の混乱も」

いろいろ突っ込みどころはありますが、原則主義的には(笑)大筋正しいと思いますので、取り急ぎ備忘。


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「財務諸表の表示に関する論点の整理」(2)

「財務諸表の表示に関する論点の整理」の続き

将棋ファンの皆さんこんにちは、矢内理絵子です(ご挨拶)。

いや、将棋まつりの記事なんぞ立て続けに書いたものだから、将棋関係のフレーズで検索してきたり、将棋系のサイトからたどってきた方が最近結構いらっしゃいます。すみません、将棋に関してはただの野次馬ですが、野次馬なりの視点でこれからも書くかもしれませんのでどうぞご贔屓に。

で、珍しく気が向きましたので、昨日の続きを。

「包括利益の表示」の表示はそんな難しくないと思ってます。「評価・換算差額」の増減を示せばいいのだから、今でも株主資本等変動計算書でやっています。

「非継続事業の区分表示」
要はやめると決めた事業は別出しにしましょうという話。財務諸表とは将来のキャッシュフローを予測するために資する情報を提供するものであり、やめると決めた事業の情報はノイズでしかない、ということなのでしょう。フレームワークに忠実ですな。
しかし、当年度だけならまだしも、国際的実務は遡及修正さえしてしまいます。つまり事業の撤退を決断したとたん、過年度の営業損益が変わることになります。この辺の感覚がついていけないところ。
撤退事業とはいえ当期の実績には違いないのだから、含めるものは含めた上で、必要な情報は注記として開示して、投資家に自由に使ってもらう、ってのはだめなのでしょうかね、と常々思っていたのですが、本論点整理でもひとつの意見として提案されています(第49項)。またIASBとFASBの合同会議でも選択肢の一つになっているということで(注22)
あながち私が考えることも間違っているわけではないな、とほっとしたりもして。

「売却目的保有の非流動資産及び処分グループの貸借対照表における区分表示」
上と同じ話。もう使わないものはキャッシュの生み出し方が違う(使用によりキャッシュを生むのではなく、売却によりキャッシュを生む)のだから、別出し表示しなさい、ということ。というわけで意見としては同じ。

さらに続く(と思う)

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「財務諸表の表示に関する論点の整理」

「財務諸表の表示に関する論点の整理」


夏休みの宿題第2弾読了(8/14)。

が、もっと内容が濃いものかと思っていましたが、要はto doアイテムのうち急いでやらなきゃ乗り遅れるものと、まだIASBとFASBが考え中なので、洞ヶ峠を決め込もう、というカテゴリーに分けましょう、という話と見ました。

で、急いでやらなきゃないというものを明示しているのは「包括利益の表示」のみで、

「非継続事業の区分表示」は「将来キャッシュフローの予測に資する情報の改善に繋がるのであれば」検討しよう。「売却目的保有の非流動資産及び処分グループの貸借対照表における区分表示」も同じStatus。

「損益の段階別表示」「損益項目の性質別開示」「貸借対照表における流動固定区分と表示科目」については「中長期的に検討を行うことが適当」としています。

そんなこと言わんと、自らの見解を堂々と掲げて勝負して見い、と本当は言いたいのですが、そういう主戦論はすっかり最近影を潜めて現実的になってらっしゃいます。日本人としては淋しいですが、実務家としてはほっとしております(笑)。

そして、本文の後半は、昨年10月に公表された、IFRSのディスカッションペーパーのおさらいになっています。IFRSが目指す理想の財務諸表も掲げられています。個人的にはどう見てもわかりやすくなったとは思えませんし、作成の負担は格段に増えるのですが、これが投資家に有用な財務諸表なのだそうです。そんな何もかにも財務諸表の本表に織り込まなくてもいいと思うのですが。

というわけで、(気が向けば)つづく。

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我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)-IAS第18号「収益」に照らした考察-を読む

我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告)-IAS第18号「収益」に照らした考察-

7月9日に出ていながら、多忙を言い訳に夏休みの宿題にしていましたが、やっと13日に読了。LAT37N"さんdancing-ufoさん
ご推薦だけあってなかなかの力作です。

とくにLAT37Nさんの日本版SAB104とはまさに言い得て妙。全体が約150pなのに、本文が52pで付録が残り100pという構成がまたいいですね。この付録部分がいろいろな業種における収益認識の考え方と、それがIAS18号を適用するとどうなるか、ということを考察していてなかなか興味深い。いろいろな業種を見ておられる監査法人勤務の会計士さんならある程度常識のところもあるのかもしれませんが、一介の一企業の経理マンにとっては、貴重な資料と言えます。

この収益に関する部分に限って焦点を当ててみますと、日本は細則主義でIFRSは原則主義だという「常識」を字面通りには当てはめることはできませんね。日本においてもメインでは「実現主義」であり、「財貨の移転又は役務の提供の完了」と「対価の成立」がその要件とされています。基本的には収益の認識については詳細な基準は日本には存在しませんので(例外はいっぱいありますがとりあえず置いておいて)、その二点に立ち戻ってそれぞれの取引について収益の認識時点を考えるというのは、今後の実務者の考える指針としても役に立つ研究報告であるといえましょう。

ただし、この研究報告の位置づけは難しいですよね。「実現主義」というのは企業会計原則以来続く収益の認識規準ですから、今会計方針を変えることは、以前の会計処理が誤っていたと捉えかねられません。とくに一般から意見募集をするといったデュープロセスを踏んでないこの研究報告によって会計処理を変えるのは企業にとっては抵抗あるでしょうね。でも、IAS18号にとらわれずそもそも実現主義の適用においても、現状の常識を覆しかねないことが書いてあるこの研究報告。どう扱うのでしょか。

一応研究報告(しかもご丁寧に「中間報告」とわざわざ記してある)ですので、会計基準の一部分を構成するものではない。したがって、強制力のあるものではありません。それは研究報告の中に明確に書いてあります(p4 本研究報告の位置付け)。したがって、「会計方針の変更」になるわけですが、それには正当な理由が必要。ただ「『適時性』を判断する上で本研究報告の公表が背景の1つとなるのではないかとの意見がある」とまた微妙なことが書いてあります。小賢しいですなぁ(笑)

ともあれ、微笑ましい誤植もそこかしこに見られるこの報告。かなり突貫工事で作られたことが伺えます。今後の動向に注目です。ネタがなくなったら個別の論点についても書いて見ましょうかね。

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IFRS教育の肝は「英語で読んで考えて」

そうかなぁ。

IFRS教育の肝は「英語で読んで考えて」

:どこかに書いている規則で財務諸表を作るのではなくて、考え方が分からないと財務諸表が作れない。そこが一番違うところです。

あまりに作成者を見くびっていませんかね。いくら日本が細則主義(といっても米国にははるかに及ばないと思いますが)といわれるからといって、実務の一つ一つ事細かに会計基準が決まっているわけではありません。それぞれの取引について本質を考えて会計処理をしています。何も考えてないで財務諸表を作っていると思われたものでは、作成者も報われませんなあ。

:日本語訳と原文ではIFRSの印象が異なります。日本語に翻訳してそれをベースに考えると日本語の思考になります。英語で考えることを身に付けるしか方法はないでしょう。

確かに日本語訳は違和感があることが多いのは事実。しかし、だからといって「英語で考えろ」とはいかがなものなんでしょうね。これから上場会社すべてに襲ってこようという波に対して、あまりに非現実的なあおりではないでしょうか?

:IFRSは会計的な意識よりもディスクロージャーとしての意識が強い。会計は仕訳を切って利益を計算するという業務管理活動ですが、IFRSは会計ではなく、いわゆるファイナンシャルレポーティングやディスクロージャーをどうするのかということが主題です。このことは日本では伝わっていなくて、会計的な捉え方をされているケースが多いようです。

これもまたみくびられていますなあ。いままで日本の実務者は仕訳だけ切っていて、ディスクロージャーについては気にしていなかったとでも?

:思考を転換するには(IFRSの)フレームワークの理解が欠かせないでしょう。これまでの会計基準の変更のように対処療法的に対応していると、いつまでたっても経営の先が読めないことになります。

そうでしょうか?欧州のあまたあるIFRS適用会社の経理実務者が、あの糞つまらない、いえ言葉が過ぎました、あの難解な「フレームワーク」を熟読しているということでしょうか?実際にヒアリングしたわけではないですが私にはそうは思えないのです。第一、会計基準(いや「財務報告基準」と呼ばないとご不満かもしれませんが)なんてものは、対処療法的に作られるものなのです。法律だって基本的にはそうでしょう。日本の基準だけがその場しのぎで作られ、IFRSは理論的に整合しているなんていうのは幻想ですよ。

で、何が言いたいかというと

「そんなに恐れることはない。IFRSといえどもたかが会計基準ですよ」と
「普段の思考の延長で十分に対応できますよ」と

少なくとも企業の財政状態と経営成績を伝えるという本質に変わりあるわけではないんですよ。
その伝えるテクニックは時代とともにいろいろ変わってきたわけで、それがIFRSになったところで根本的なところは変わらない。

いやその「本質」を日本企業は理解していなかった、というのが論者の意見なんでしょうけど、
そこまで日本企業って見くびられるべき存在ではないと思うんですよね。

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サプライズ!対談 斎藤先生vs.西川先生

四半期報告書も無事提出しまして(いつ提出したかは社名が特定される可能性があるので内緒です)、またまた久しぶりの投稿となります。どうも決算月は通常の生活パターンを維持できなくなり、個人的なインプットもアウトプットもおろそかになってしまいます。いまや決算月も通常月と同じくらいあるので、決算月といえども通常の生活パターンを維持できるようにしないといけないのですが、なかなか理想通りには行きません。

とりあえずやっと少しばかり時間に余裕ができるようになったので、7月の雑誌記事や最近のWeb情報を閲覧。げっ、「経営財務」の「会計士 山中氏の思い」。この前まで夏だったはずなのに、もう4月になっている。いかにインプットをサボっているかわかるなあ。

Web情報もちょっと見ないうちに、IFRS検索で引っかかるブログも増えてきました。みんな頑張ってね。私みたいに挫折しないように(笑)

そんな中、「経営財務」の8/3号の「サプライズ!対談」を読みました。前ASBJ委員長の斎藤先生と、現ASBJ委員長の西川先生の対談。委員長が西川先生になってから東京合意をはじめ急速にASBJはコンバージェンス重視に舵を切ったことになるわけですが、そんな関係で特に斎藤先生が現在のアダプションやむなしといわれている状況下どんな発言をするのか興味がありました。

「アメリカの動きがわかる前に日本が慌てて余計なことはしないほうがいい。その意味でも中間報告の姿勢は妥当であろうと私は思っています」
「アメリカ会計学会の委員会は、IFRSへの意向がロードマップ案の本来の目的に沿わないという批判的なコメントを公表しています。基準を統一することと実務を統一することは、まったく次元の違う問題だという趣旨です」
「果たして、本当に単一の基準に統合することが望ましい結果を生むのかということになるとそれをサポートする経験的な証拠は存在しないことも指摘されています」
「それぞれの地域で緊急事態が生じますから、場合によっては各国で個別当座の基準を作っていかなければいけない可能性がある。そうするとまた基準の違いが出て、再びコンバージェンスが始まることもあるのかなと思います」
「使われている基準がだめとなったらすぐ別の基準に変えなければなりませんが、改めて考えていたのでは間に合いません。現実に市場で使われていて、それにすぐスイッチできる位の近さを持つ代替可能な基準の存在が危機対応においては不可欠なのですね」

一つ一つがなかなか興味深いことを言ってるなと思います。が、今回は紹介だけ。
次回掘り下げてみようと思います。気が向いたらですが(笑)

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IFRS襲来!

久しぶりに更新します。

3月決算、決算発表、株主総会、有価証券報告書、そして第1四半期決算と、自分を立て直す暇もなく時間が過ぎていきました。いつものことといえばそれまでなのですが、こういうときでも余裕を持って仕事ができるようになりたいのですが、何年経ってもできません。

さて、週刊ダイヤモンドの特集、「IFRS襲来!」をほぼ1週間遅れて読んでいます。
どうせ、ダイヤモンドの特集だから、とおもったら、これがなかなかリキが入っています。
誰か知りませんが、結構強力なブレーンに協力してもらったのでしょうか。
現段階でこれだけ知ってれば上出来なものに仕上がっていると思います。
分かったふりをしたい方にはお勧めです。

しかし、週刊ダイヤモンドに載るようになってしまっては、私なんかの存在意義ももうないかも(汗)

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IFRS本文の閲覧が無料に

Access to unaccompanied standards

Access to unaccompanied standards (the core standards, excluding additional content such as basis for conclusions) is now freely available from the IASB website.

IFRS®

Unaccompanied IFRSs

Please find below links for free of charge access to the current year’s consolidated IFRSs, the official pronouncements in English, as issued by the IASB, excluding the accompanying documents. To access the accompanying documents please see our printed bound volume or eIFRS products.


登録が必要なようではありますが、IFRS本文に無料でアクセスできるようになりました。
いままでは高い本を買うか、有料会員になるしかなかったので、これは朗報です。
まあ、いまやFASBも無料ですから、世界制覇のためには無料とするという判断だったのでしょう。
またしばらくはブームになりそうな気配で、財政もだいぶ潤ってきて、太っ腹になった、ということでしょうか。

ところで、なぜかIFRS1だけアクセスできないのですが、私だけでしょうか?

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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク)その5 財務諸表の構成要素の認識 、財務諸表の構成要素の測定

以前も書いたとおり「認識」とは記帳し、財務諸表に表示することですが、大原則として、以下の2点が述べられています(para.83)。

・ 当該構成要素(つまり資産、負債など)にかかわる将来の経済的便益が企業に流入(企業から流出)する可能性が高い。かつ、
・ 当該構成要素の原価または価値が信頼性をもって見積もることができる。

この原則が資産、負債、収益、費用のそれぞれの項目について貫かれています。

ちなみに資産のところでは、「資産は将来の経済的便益の流入の可能性が高くなり、資産の原価または価値が信頼性をもって見積もることができるようになったときに貸借対照表上認識する」と(para.89)している一方、収益(income)のところでは「収益(income)は資産の増加または負債の減少に関連した将来の便益の増加が発生し、それが信頼性をもって見積もることができるようになったときに損益計算書で認識する」(para.92)としており、ここでも資産負債を先に決定し、それにより損益項目を決定する原則を見ることができます。

そして、その項目を「認識」する際に、いくらで認識するか、すなわち「測定」の問題については、現在いろいろなものが使われているとして、次の4つの測定属性を挙げています(para.100)

・ 取得原価(Historical Cost)
取得時に支払った現金およびその同等物もしくは取得時に交換した対価の公正価値にて測定する方法。
・ 現在原価(Current Cost)
現時点で同じ資産を取得すればいくらかかるかで測定する方法
・ 実現可能(清算)価値(Realisable (Settlement) Value)
現時点で当該資産を処分すればいくらもらえるかで測定する方法
・ 現在価値(Present Value)
将来のキャッシュフローを現在の価値まで割り引いた価格で測定する方法

この中では取得価額がもっとも普遍的であるが、他の方法と併用して使用されている、としています(para.101)。このフレームワークが制定されたのはまだ1989年。まだ、いわゆる「時価」というものが測定属性としては前面に出てきていなかった時代であり、そのため現在価値よりも取得原価が優勢だった、ということかもしれません。米国で減損会計が出てくるのも、デリバティブの時価評価というのが出てくるのもまだしばらく先のことです。

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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク)その4 財務諸表の構成要素

財政状態に関連する要素としては次の3つが挙げられています。

・ 資産(asset)
資産とは企業によって支配されているリソースであり、過去の事象の結果から発生し、将来の経済的便益の流入を企業にもたらすものである(para.49(a))。

・ 負債(liability)
負債とは企業の現在の義務であり、過去の事象から発生し、将来の経済的便益の流出を企業にもたらすものである(para.49(b))。

・ 資本(equity)
資本とは企業の資産から全ての負債を控除した残りである(para.49(c))

資本について身も蓋もないことが書かれていますが、まさにこれこそがIFRSの特徴であるとも言えましょう。少なくとも日本の商法時代から経理業務に勤しんでいる者にとってはなかなかなじみにくいところです。

また損益計算書にかかわる項目については以下のものが挙げられています。

・ 収益(Income)
収益(income)は1会計期間における経済的便益の増加であり、流入もしくは資産の増加、負債の減少という形をとり、その結果として資本が増加するものである。ただし、出資によるものは含まない(para.70(a))
収益(income)は狭義の収益(revenue)と利得(gain)に区分され、狭義の収益は通常の事業活動から発生するもので、利得はそれ以外の収益である(para.74-75)。

・ 費用(Expense)
費用とは1会計期間における経済的便益の減少であり、流出もしくは資産の減少、負債の増加という形をとり、その結果として資本が減少するものである。ただし、出資者への配分は含まない(para.70(b))
費用は損失(loss)と、通常の営業活動から生じた費用に区分される(para.78)

これらの書き方も、一般的には資産・負債の残高を決定し、その増減によって利益を計算する原則として捉えられています。「資産・負債アプローチ」と言われるものでしょう。現在手元に詳細な文献がないため、ここでの深入りは避けますが、学者になろうとしているのでなければ、この程度の理解で十分かなと。

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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク)その3 財務諸表の質的特徴

財務諸表の質的特徴として、以下のアイテムが挙げられています。

「理解可能性」Understandability
とにもかくにもユーザーに理解されない財務諸表では意味がない、というのはある意味当然です。しかしながら、その一方で「理解するのが困難なものであっても、意思決定の目的のために必要であれば、困難であることだけをもってそれを排除してはならない」(para.25)とも言っています。バランスの問題だということでしょうが、どうもそのバランス、どんどん崩れていっているような気がしてなりません(私見)

「目的適合性」Relevance
利用者はある目的をもって財務諸表を読むのですから、その目的に適合したものではないとそれは意味がないわけです(para.26)。それらの情報、例えば現在保有する資産の金額というのは、将来発生する現金を予想するのに有益な情報であるとともに、過去に行われた予想を検証するのにもまた有益な情報である、といったように、財務諸表というのは過去の情報でありながら、予測的役割と確認的役割といった2つの相互に連関した役割があるとしています(para.27)。
なお、この文脈において「重要性」Materialityについても述べられています。情報の目的適合性はその情報の内容とその重要性に影響されます(para.29)ただし、それは質的特徴というよりも、単に境界線(threshold or cut-off point)であるに過ぎない、といわれています。特徴ではなく、境界線。ニュアンスが難しくて上手く解説ができません・・・

「信頼性」Reliability
有用であるためにはその情報は信頼性のあるものでなくてはなりません(para.31)これも当たり前。それを、以下の要素に噛み砕いて説明がされています。

・表現の忠実性Faithful Representation
取引や事象を忠実に表現しなければならない、ということ(para.33)。

・実質優先Substance over Form
取引の法的形式よりも、その実質を見て会計処理および表示をする、という原則(para.35)。資産の売却の形式があっても、その資産に対する支配が継続している場合は、売却を認識してはいけない、ってのがその例。

・中立性 Neutrality
情報にバイアスがかかっていてはいけません、ということ(para.36)。

・慎重性 Prudence
財務情報にある程度の不確実性が入るのは不可避であるが、資産や収益をかさ上げしたり、費用や負債を過少計上しないように慎重になりなさい、ということ(para.37)。ただし、
同時に、過剰な引き当てをしたり、資産や収益を過少計上してもいい、といっているわけではない、と釘もさしています。

・完全性 Completeness
情報に漏れがあってはいけません、ということ(para.38)

「比較可能性」Comparability
財務諸表の利用者は同一企業間の時系列の比較をするとともに、異なる企業間の比較も行います。したがって、同じような会計事象は同じように処理される必要があるということです(para.39)。ただし、一方でこの必要性は、単なる統一を意味するものではなく、またこのことが新たな会計基準の導入の障害になってはならない、としています(para.41)
単なる統一を意味するものでない、というくだりが謎ですが、当時の国際会計基準はいろいろと代替的処理を認めているものが多かったですから、そのあたりを考慮したものなのかもしれません。

「情報の目的適合性と信頼性の制約」
目的に適合した信頼性のある財務諸表を作成するのが最終目標ですが、そのための制約も考慮しなければならないということです。ここでは以下のアイテムを挙げています。

・ 適時性 Timeliness
完璧な財務諸表であってもそれが2年後に出てきたのでは目的適合性が著しく低下します。

・ コストベネフィット Balance between Benefit and Cost
金をかければいくらでも財務諸表は完璧になりますが、1円の精度を上げるために百万円かけるのは意味ないでしょう?ということ。

・ 質的特徴の項目間のバランスBalance between Qualitative Characteristics
いままで述べてきたものが全て両立しないこともあります。そのあたりのバランスは専門家の判断の問題だということです(para.45)
「真実公正な概観または適切な表示」True and Fair View/ Fair presentation
財務諸表というものは「真実公正な概観」を備えている、ということです(para.46)。これがUSGAAPにはないIFRSの特徴として重要だという説もあります。ただ私には、当たり前のことにしか見えませんし、表現の忠実性Faithful Representationとの違いが理解できないのであります。

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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク)その2 財務諸表の目的


このフレームワークでは財務諸表の利用者として、主に以下を想定しているようです。投資家、従業員、金融機関(すなわち金貸し)、取引業者およびその他の信用取引の相手方、顧客、政府とその機関、公衆、などです(para.9)。そして財務諸表の目的とは「企業の財政状態、経営成績および財政状態の変動について広い範囲の利用者が経済的判断をする上で有益な情報を提供することにある」としています(para.12)

その上で、財務諸表の利用者が行う経済的判断は、企業が現金及びその同等物を創出する能力と、その時期と確実性についての評価を必要とする、とし(para.15)、その文脈において「財政状態」「経営成績」「財政状態の変動」が有用であるとしており(para.16-18)、その情報は「貸借対照表」「損益計算書」そして「別個の計算書」にて提供される、としています(para.19)。またここでいう財務諸表には注記やその他の補足情報を含む、としています(para.21)

つまり、財務諸表というのはいろいろな方が利用されますが、一番の興味の対象として「現金の創出能力」、ありていに言えば、将来どれだけ金を稼げるか、というのがもっとも有用な情報であり、その情報を導き出すために、キャッシュフロー計算書を含めた現在の財務諸表(そして注記情報等)がある、ということでしょう。

またそのような財務諸表の目的に適合するため、発生主義の原則が採用されています(para.22)。また将来どれだけ金を稼げるかが目的ですから、当然将来も企業が継続することが前提となっており、その前提が崩れた場合は、別の原則において財務諸表を作成することになっています(para.23)。いわゆる「ゴーイング・コンサーン」の前提ですね。

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Framework for the Preparation and Presentation of Financial Statements (財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク) その1 全体像

概念フレームワーク。誤解を恐れず簡単に言えばIFRSの憲法というべきものでしょう。実務的にはあまり役に立たないものですが、諸事情によりブログ主が本文を読まなくてはならなくなりましたので、勝手ながらまとめ用にブログを使わせていただきます。また、これから今週一杯プライベートではwebから隔離されてしまいますので、数日はこのネタでいかせていただきます。

なお、手元に邦訳はありません(個人で買うには高いんで・・・)。したがって、以下はブログ主の適当訳ですので、公式のものとは異なっていると思います。ご了承ください

まず構成は以下の通りとなっています

・ 序文(Preface)
何のためにこの文書を作成したか、ということですね。

・ 総論(Introduction)
全体像について述べている部分です。「目的と現状」「範囲」「利用者とその情報ニーズ」の項に分かれています。

・ 財務諸表の目的
「財政状態」「経営成績」「財政状態の変動」について述べています。

・ 基礎となる前提
「発生主義」および、最近何かと話題の「継続企業(Going Concern)」について扱っています

・ 財務諸表の質的特徴
「理解可能性」「目的適合性」「信頼性」「比較可能性」「目的適合性と信頼性の限界」について論じています。さらにその過程で「重要性」「表現の忠実性」「実質優先」「中立性」「慎重性」「完全性」「即時性」「コストベネフィットのバランス」「質的特徴間のバランス」などの特徴について述べています。

・・・なんだか分からないですね。これはまた改めて。

・ 財務諸表の構成要素
「財政状態」が何でできているか、といえば「資産」「負債」「Equity」うーん、とりあえず「資本」と訳しておきますがそれらの構成要素について記載されています。そして「Performance」これも「経営成績」と訳しておきますが、その構成要素である「収益」「費用」「資本維持修正」に分けて記載しています。「資本維持修正」って何?って所ですがそれもまた別途。

・ 財務諸表の構成要素の認識
上記で論じた各構成要素が、財務諸表に表記されること、これを認識(Recognition)といいますが、認識の時点がいつになるかということ。その過程において「将来の経済的便益の獲得の可能性」と「測定の信頼性」について述べられています。

・ 財務諸表の構成要素の測定
上記で各構成要素を認識するとして、いったい何円で認識するのか?という論点です。
「取得原価」「現在原価」「実現価値」「現在価値」と4つほど挙げていますが、挙げっぱなしで終わっています。

・ 資本及び資本維持の概念
これは、資本とは何か、維持すべき資本とは何か、ということです。突き詰めて言えば、株主から拠出された資本をどれだけ増やしたか、が利益なわけです。しかし、何をもって「増えた」もしくは「維持(すなわち減っていない)」と判断するのかは簡単でないですよ、といっている部分かと思います(かなり意訳あり)。

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IASB seeks comments on a proposed new standard on income tax accounting

IASB seeks comments on a proposed new standard on income tax accounting

The International Accounting Standards Board (IASB) today published for public comment an exposure draft of a proposed new standard on the accounting for income tax. If adopted, the standard would replace the existing requirements in IAS 12 Income Taxes.

IAS12号「法人所得税」を全面的に改訂する公開草案が公表されました。

The proposed standard retains the basic approach to accounting for income tax, known as the temporary difference approach. The objective of that approach is to recognise now the future tax consequences of past events and transactions, rather than waiting until the tax is payable. Although the proposed standard retains the same principle, the IASB proposes to remove most of the exceptions in IAS 12, to simplify the accounting and strengthen the principle in the standard. In addition, the IASB proposes a changed structure for the standard that will make it easier to use.

いわゆる「一時差異アプローチ」というものは変えずに、例外を極力排除し、シンプルな原則どおりの会計処理にして、使いやすくした、ということのようです。

といいつつ、もともとのプロジェクトの目的がUSGAAPとのコンバージェンスですので、おのずと米国基準寄りの提案がなされているといえます。

例えば

a proposal to recognise deferred tax assets in full, less, if applicable,a valuation allowance to reduce the net carrying amount to the highest amount that is more likely than not to be realisable against taxable profit. This approach replaces the existing single-step recognition of the portion of a deferred tax asset for which realisation is probable.

税金資産の回収可能性が乏しいとき、従来のIASではもともと税金資産を認識しませんでしたが、今後は一旦税金資産を認識した後に、評価性引当金(valuation allowance)を計上することにより税金資産の純額を減少させようというものです。これなども米国のアプローチに沿ったものといえましょう。

また

a proposal that current and deferred tax assets and liabilities should be measured using the probability-weighted average amounts of possible outcomes assuming that the tax authorities will examine the amounts reported to them by the entity and have full knowledge of all relevant information. IAS 12 is silent on the treatment of uncertainty over tax amounts

税務当局が認めるかどうか分からない不確実な税務ポジションに対しての扱いを新たに定めたということで、これは2年ほど前に発行した米国基準FIN48に対応したものと思われます(アプローチは若干違うようですが)。これなどが日本でも適用になると、税務当局の判断確率を考慮して税金資産の額を計上しなければならず、実務的にかなり面倒なことが予想されます。とくに税務における係争を抱えている会社には影響があるのではないでしょうか。

まだ重要な改訂点すら全て読み込めていませんが、取り急ぎ。

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上場企業 経営リスク2段階で表示(3/21) その2

前記事の続きです。

最後まで読んでさらにびっくりしたのですが

国際会計基準はリスク開示に二段階制をとっており、関連ルールをこれに合わせる。

すみません、本当なら初耳です。というわけで原文に当たってみました。

IAS1 para.2325 <3/25修正>
When preparing financial statements, management shall make an assessment of an entity’s ability to continue as a going concern. Financial statements shall be prepared on a going concern basis unless management either intends to liquidate the entity or to cease trading, or has no realistic alternative but to do so. When management is aware, in making its assessment, of material uncertainties related to events or conditions that may cast significant doubt upon the entity’s ability to continue as a going concern, those uncertainties shall be disclosed. When financial statements are not prepared on a going concern basis, that fact shall be disclosed, together with the basis on which the financial statements are prepared and the reason why the entity is not regarded as a going concern.

こう書いてあるだけなのですが、これが「2段階」なのでしょうか。確かに2段階といえば2段階なのですが、ここに書いてあるのは

・ 継続企業の前提に重要な疑義があるとき
・ 継続企業であることを前提としていないとき

の2段階です。通常継続企業の前提の開示といった場合は前者をさし、後者は言わばすでに逝ってしまった企業の開示です。これを2段階というのであれば、すでにわが国の開示は前者レベルで行われていますので、現在のままで十分ということになりませんかね。
(IFRSがらみの扱いについて、これ以外に何かあるのか、ご存知の方は教えていただければ幸いです)

ここまで読んで、記事の後段にある微妙な文章の重要性に気付いたのですが、

反面、実際に重大なリスクが発生しても、事業継続に問題がなければ、すぐに「注記」の記載を求めず、リスクの内容を開示するだけにする。

またこの「注記」と「内容の開示」の差がよく分からないのですが、要は早期段階の企業と、末期段階の企業を分けよう、という趣旨なのでしょうか?そうであるならば、この記事(というより制度改正の)趣旨はむしろこちらということになりそうですね。
この推測が正しいのであれば、監査人は二つトリガーを持つことになってしまいそうで、扱い方にまた苦慮するのではないでしょうか。

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IASB and FASB launch public consultation on a future standard on lease accounting

IASB and FASB launch public consultation on a future standard on lease accounting

The International Accounting Standards Board (IASB) and the US Financial Accounting Standards Board (FASB) today launched a public discussion on lease accounting by publishing their preliminary views in a joint discussion paper.

リース会計のディスカッションペーパーが出たようです。
USGAAP、IFRSとも、現在オペレーティングリースとファイナンスリースに区分している処理を一本化しようという内容、のようです(ちゃんと読んでませんが)。日本は今年追いついたのに、また逃げていかれた、というような印象になります。

詳細内容はこちら

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企業会計基準委員会と国際会計基準審議会が会合し、会計基準のコンバージェンスに向けた進捗状況を確認

企業会計基準委員会と国際会計基準審議会が会合し、会計基準のコンバージェンスに向けた進捗状況を確認


:さらに、ASBJ からは、日本での上場企業によるIFRS の利用の可能性に関する企業会
計審議会企画調整部会から2009 年2 月に公表された「我が国における国際会計基準の取扱
いについて(中間報告)(案)」の概要についても紹介しました。

というわけで、IASBとの定期協議で、2010年にIFRSによる自主的な開示を認める方向が説明されたようです。国際的な公約になってしまいましたのでまずこの方向が認められることになるでしょう。ただ、2010年3月期(つまり来期)から適用可能な企業が一体どれだけあるのでしょうか?気になるところではあります。

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BATICもコンバージェンス?

2009 年度BATIC(国際会計検定)出題範囲について

:なお、2009 年度版BATIC (国際会計検定)Subject2 の公式テキストおよび問題集は、2009 年1 月1 日現在有効に成立している、米国において一般に公正 妥当と認められる会計原則(US.GAAP)、日本において一般に公正妥当と認められる会計原則及び国際財務報告基準(IFRSS)に準拠しております。

いや、方向としてIFRSを取り入れるのは、そりゃ時流というものですので、否定はしませんよ。
でも、USGAAPとIFRS両方に準拠した問題ってどうやって作るんでしょう?
どちらにも相当レベルの知識が必要でそう簡単にできる話ではないと思うのですが。

それとも、IFRS問題とUSGAAP問題と分けるのかな。それはそれで受験者の負担のような・・・

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投資家からみたIFRS


これも企業会計3月号。野村證券の野村さんの論考です。

野村さんは、わが国の会計基準とIFRSの間には未だわが国の企業経営に重要な影響を及ぼしうる重要な差異が存在しているものと考えている、ということで次の3点を個別論点として検討しています。

1. 包括利益

損益計算書に表れない資本の部の変動を示す包括利益ですが、IFRSでは損益計算書に記載されるが、日本では明示的に記載されるものではありません。といっても、日本基準においても、開示されている情報から包括利益についてかなりの部分を読み取れるものであることは野村さんも否定していません。しかしながら、昨年度の決算において、純利益と包括利益の増減率の方向性が逆方向を示したことから、明示的に包括利益を表示した場合、今までと異なるメッセージを発信することになるのではないか、と指摘されています。

もっとも、包括利益自体の情報としての有用性については常に議論されているところではありますが、開示されていても投資行動にはさほど影響していないという意見も根強かったと思います(すみません、ソースがすぐ出てきませんが)。

2. のれん

日本基準では定額償却、IFRSでは償却せず減損処理、というのは典型的な両者の差異として有名です。今年度の在外子会社における会計基準に対するIFRS等の導入にしても、のれんについては、現地で償却していないものを、日本側で償却させる処理をしています。これについては、企業結合が業績に与える影響は大きくなってきており、一刻も早く処理を収斂させるべきだとしています。

また、収斂の方法についても問題意識を持っており、ある一定の日をもって、それ以前に取得したのれんは償却継続、それ以後に取得したのれんは非償却となり、混乱することを危惧されています。

ただ、これについては、米国がのれんの非償却を導入した際には、既存ののれんの償却についても基準適用とともに停止したという記憶があります。おそらく実務的にそのような方向になるのではないでしょうか。

3. 過年度遡及修正

会計方針の変更、表示の変更、誤謬の修正があった場合、それを当期のインパクトとするのではなく、過去に遡って修正をしなさい、という基準です。日本ではあまり過去を修正する、という実務は行われていないのですが(粉飾等あった場合は別ですが)、IFRSやUSGAAPではこれを要求しています。日本でも近いうちに草案が出そうですので、収斂の方向はすでに見えています。

しかし、実務としてはこれは大変なんですよ。とくに、何年間か遡って財務諸表を修正しなければならない、ってことになると、すでに必要な資料を廃棄していたり、全子会社に号令をかけて数値を拾わなければないとか、いろいろな手間が予想されます。個人的には、やめてほしいんですが・・・

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国際会計基準がやってくる(3/12 日経)

ビートルズみたいな言われ方をされているこの取材記事。東証の西室さんと経団連の島崎さんへのインタビューです。西室さんは元東芝の社長、島崎さんは住商の役員であります。

西室さん
:外国企業や投資家の関心をひきつけるためにも早く強制適用に移行すべきだ。
:東証も市場運営者の立場で先頭に立って手伝いをする。号令をかけるだけでなく東証の決算をなるべく国際基準で作ることも必要。四半期開示などの制度面で必要な点があれば変えていくべきだろう。

これって、株式会社東京証券取引所がIFRSで決算をする、って言ってますか?「号令をかけるだけでなく」と言っているから多分そうなのでしょう。事務方の苦労が思いやられる発言であります。東証が率先垂範したからといって、どれだけの効果があるのかは疑問ですが。

とまあ、いけいけどんどんの西室さんに対し、島崎さんは強制適用の動き自体には賛同しているのですが、

:実務面でどんな対応が必要なのか、もう少し詳しく調べないといけない。
:1年ぐらいかけ欧州の先行事例などを研究したい。

と、比較的慎重な姿勢を示しています。というより、実務家からすればこれが真っ当な意見であるかと思います。欧州が数年かかり、米国がこれから5年くらいかけてやろうとしていること。英語が比較的流通していないわが国で同じことをやろうとするわけですから、それなりの時間がかかります。先行している会社の任意適用ならともかく、強制適用の拙速な運用は市場の混乱を招くだけであると考えます。

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原則主義への対応と解釈指針の役割

企業会計3月号。すでに1月前の号となっていますが、特集が「IFRS導入のインパクト」でIFRSネタの宝庫となっています。その中からIFRICの委員である鶯地さんの論考。IFRICとは国際財務報告解釈指針委員会、つまりIFRSの解釈の指針を決めるところです。そこがどのような方針で動いているか、そしてそれに日本がどう絡んで行くべきか。まとめてみました。

原則主義の特徴と利点ということで、以下の点が挙げられています
・ 法律を前提としたルールを作らない
・ 数値基準を唯一の判断基準としない
・ 産業別、商品別といった個別のルールを作らない
・ 判断基準となるものの確証や証跡の形式を限定的に定めない
・ ルールに不明確な点があれば概念フレームワークに立ち返って判断する

つまり、この数値を越さなきゃ大丈夫、この確証をそろえれば大丈夫、といった解釈を認めないということであります。迷いがあったら常に基本に立ち返る。ある意味宗教的な信念をも感じます。

しかしながら、基本に立ち返っても複数の解釈が成り立つ場合には、複数の会計処理が成り立ち、財務諸表の比較可能性が失われます。ダイバージェンス(divergence)と呼ばれるこの問題、それぞれの企業がベストの判断をしているはずであり、多少の違いであれば許容範囲内にあるのが通常ですが、ときにそれが市場の信頼を逸するほどに大きな差異が生じると判断された場合、IFRICの出番となるわけです。

といっても、解釈指針を公表すれば、その解釈指針をさらに解釈する指針が必要になる、というように、解釈指針を乱発すれば、結局それは原則主義から大きく逸脱したものとなってしまいます。したがってIFRICでは取り上げるべき判断基準を明確にし、公表する指針数は極めて限定されたものとなっています。この論考ではいくつかの判断基準が挙げられていますが、逆に取り上げられなかった理由として以下の2点が主なものとしています

・ 重要性がないもの
・ IFRSの基準が明確であると判断されるもの

そして、もともと複数の会計処理が考えられるためIFRICの俎上に載せようと考えていた事象が、後者と判断された場合、解釈は1つであり、他の選択肢は明らかな誤りということになってしまい、過年度の財務諸表の修正等、影響が大きいものになる、と指摘されています。原則主義の怖いところと言えるかもしれません。

そして、限定された議題しか取り上げないIFRICでは、現在適用が義務付けられている欧州企業の声が大きくなる傾向にある。そのような積み上げがアダプション後の日本に悪影響を与えることを危惧しています。実際に適用する企業からのコミュニケーションの絶対量が足りないことを切に訴えています。住友商事に在籍したままIFRICの活動を行っている鶯地さんだからこういった危機感を肌で感じることができるのでしょう。

そして、財務諸表の「読者」に対しても、財務諸表を「解釈」する能力が必要であり、原則主義というのは財務諸表の読者の力量も試すものであるとしています。総資産がいくら純利益がいくら、という数値だけではなく、注記情報を含めた全体像を読みこなす力が求められるというわけです。

作者であり、読者でもある私にとってはなかなか耳の痛い意見でありました。

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24 February 2009: First meeting of Monitoring Board is 1 April 2009

24 February 2009: First meeting of Monitoring Board is 1 April 2009

:The first meeting of the new IASC Foundation (IASCF) Monitoring Board will take place in London on Wednesday 1 April 2009, in conjunction with the meeting of the IASCF Trustees, which is scheduled for 1-2 April 2009 in London.

モニタリングボードは4/1の開催が決まっているようです。前回の記事

:しかし、発足に向けた最終確認作業で、欧州委員会域内市場・サービス担当のマクリービー委員の署名だけが得られていない状況で、発足時期については見通し が立たないという。

と引用したのですが、見通しが立ったのでしょうか?

でもこちらによると
:The relationship and responsibilities of the participating organisations are described in the Memorandum of Understanding (MoU) developed by the members of the Monitoring Board and the Trustees. The Trustees formally approved the MoU in New Delhi. The formal process of signing the MoU is now under way and should be completed shortly.

ということですし、こちら
:The IASCF has released the Memorandum of Understanding (MoU) related to the Monitoring Board. This is in process of being signed by all parties.

ということなので、今日現在でまだサインがされてない、というのは事実であるようです。サインを見越して、期日だけをリリースしている状態なのでしょうか。”should be completed shortly”という時期は過ぎているような気がしますが。

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IASB-FASB ディスカッションペーパー 「顧客との契約における収益認識についての予備的見解について」

http://www.iasb.org/Current+Projects/IASB+Projects/Revenue+Recognition/Discussion+Paper+and+Comment+Letters/Discussion+Paper+and+Comment+Letters.htm

IFRS導入する際に一番混乱するのが、この収益認識だと思います。どうも日本とは違うらしい、でも日本基準もIFRSも文言上多くを語っているわけではない。何をどうしたらIFRSに組み替わるのか、つかみどころがないように思えます。

それは今後IFRSの採用に動きつつある米国でも、あまり語らないIFRSに戸惑っているように見えます。なにしろ、米国には「収益認識」といった一本の基準がない代わりに、いろいろなところに収益認識の基準が見え隠れしていて、Rule basedの名に恥じずとにかく細かい。これまた全貌が掴みにくいものであります。

そのような問題意識から、米国FASBとIASBは共同で収益認識の基準作りに取り組んでいます。昨年の12月にでたこのディスカッションペーパーはその中間報告とでもいえるものかと思います。出たのは知っていたもののサボって読んでいなかったのですが、経営財務2/23のASBJ豊田氏の論考がわかりやすく(といってもマニア向けには、という話ですが)まとまっていましたので、それをさらにかいつまんで生きたいと思います。

まず問題意識として、米国に対しては「稼得過程」に問題があるとのことです。「稼得」とは、日本で言う「実現」と捉えれば当たらずしも遠からずといったところだと認識しているのですが、この「稼得」の意味合いと「資産および負債の増減」の関係があいまいであり、それが100種類以上もの収益認識ガイダンスを生み出している、ということのようです。一方IFRSに対しては、いろいろ書いていますが、要は「指針が少ない」というところに尽きるようです。米国からしてみればよくこの少ない条文数でワークしているのか分からない、といったところなのでしょう。

これらの問題点の解決策として提示されているのが「資産負債モデル」という考え方であり、ざっくり自分流にまとめると以下の通りかと思われます。

・ 企業は顧客と契約したときに対価を請求する権利を得るとともに、財やサービスを顧客に提供する義務を負う。
・ 上記の権利と義務を測定し、その純額ポジションが貸借対照表に計上される。
・ 契約資産が増加するか、契約負債が減少することにより、純額ポジションは借方側に計上され、その貸方勘定として収益が認識される。それは通常、企業が義務を果たし、負債が変動することによって生じる。
・ 提供すべき義務は、いろいろな要素に分解可能である。契約当初にそれぞれの要素に対して対価の額を配分しておく。義務が履行されるたびに、配分した金額の収益が計上されることになる。

シンプルといえばシンプルなのですが、権利と義務、特に義務の測定って??という感覚に陥ります。論考はこれから詳解に入っていきますが、ひとまずこの稿はここまで。

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〔焦点〕世界的に広がる時価会計への緩和圧力、日本の国際会計基準の導入に影響も


やや古い記事ですが、


:ただ、公開草案を詳細にみると、2010年3月期からの選択適用については「情勢を見極めた上で判断する必要がある」と表記しており、2012年の義務化 の判断時期についても「1つのめどとして考えられるが、諸情勢で前後し得る」と先送りの可能性も示す。さらにパブリックコメント期間は2カ月間。通常の1 カ月に比べると長く、慎重な姿勢が目立っており、金融庁は「世界情勢を見極める必要がある」として導入スケジュールには神経質だ。

まあいつものことです。良くも悪くも欧米の顔を見ながら進路を決めております。これを欧米追随と笑う人たちは、独自性を出して異なった会計基準を定めた瞬間に、遅れた会計基準だといってまた笑います。実務サイドとしては、もう下手な独自性を出されるよりは、さっさと追随を決め込んだほうが楽、という心境になりつつあります。


:しかし、発足に向けた最終確認作業で、欧州委員会域内市場・サービス担当のマクリービー委員の署名だけが得られていない状況で、発足時期については見通し が立たないという。

ほう。これは知りませんでした。IASBのBoardの上にはTrustee(評議会)という組織がありBoardの首根っこを押さえていたのですが、さらにその上に政府系の屋上屋を重ねようというのが、モニタリングボードという組織です。すんなり発足したと思っていたのですが、もめているんですね。米と欧のコンバージェンスは、見えるところではちゃんと握手をしながらテーブルの下で足をけりあっている、という印象です。それでもここまで進んできたんだからたいしたものだと言えるのでしょうが。

:時価会計ルールの適用緩和で大きくかじを切っているのは、欧州だけではない。米国は、国際会計基準を2014年以降に段階的に受け入れるかどうかを 2011年に最終判断するとの「工程表(ロードマップ)案」を公表しており「受け入れに転じた」とみられていたが、風向きが大きく変わる可能性が出てい る。

ロードマップのコメント募集期間が延長されており、こうしたことからもオバマ政権のIFRSに対する政策変更の可能性について取りざたされているようです。まあ、こうやって米欧がちゃんばらをやっている間にしっかり勉強して準備しないとね。

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【書籍】国際会計基準で企業経営はこう変わる(高浦英夫監修 東洋経済新報社)

高浦さんはあらた監査法人の理事長さんです。したがって、実際に著しているのはあらた監査法人、あるいはPWCに属している会計士さんたちです。

日本の基準と比較して、あれが違う、これが違うといった経理専門家向けの話題ではなく、今世界で起きている動きと、それに対して日本がどう対応しているかを見る上では手っ取り早い書き方になっています。経理担当者ではなく、経営者や教養として知りたい方にはお勧めかと思います

ただ、忘れてはならないのは、この方々も最終目的は商売であります。それが最後の章が「・・・PWCができること」となっているので明確であります。そのため危機のあおり方については内部統制狂想曲の時代の教訓を踏まえ、冷静に読んで行く必要があります。共著ですので、同じことが何度も書いてあり、意図しているかはどうかはともかく、危機が繰り返し植えつけられる構成になっています。とくにリーマンがIFRSではなくUSGAAPだから救済が遅れたかもしれない、みたいな書きぶりはいくらなんでも筆が滑りすぎかと思います。経理専門書を読み解く力がある方はある程度眉に唾をつけて読む必要があるかと。

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